本研究は鉄族金属クラスターの精密合成・構造決定・磁性の評価により、超常磁性状態発現のメカニズムについて知見を得ることを目指した。具体的には、まずクラスター合成の前駆体となるかさ高い配位子を有する低原子価金属アミド錯体を合成し、ホスフィン配位子の存在下でピナコールボランと反応させることで、目的物である配位子保護クラスターの合成を試みた。合成したクラスターはX線構造解析により幾何構造を決定し、質量分析法により化学組成を確認した。さらに合成したクラスターの磁性を評価し、ナノサイズの鉄族金属クラスターのスピン状態などについて調査した。
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