パンコムギの近縁野生種はストレス耐性などの有益な遺伝子を持っており、染色体添加系統を作成することでパンコムギに導入できる。しかし、1つの染色体には平均数千の遺伝子が座乗しており、有用遺伝子とともに劣悪形質遺伝子も持ち込まれてしまう。そこでGc遺伝子によって染色体を切断し、有用な遺伝子を含む染色体断片を持った系統を選抜する手法が考えられる。Gc遺伝子を用いたゲノム改変技術では、遺伝子組換え実験を伴わないため、安全な改良技術として社会に受け入れられやすいと期待される。本研究でGc遺伝子による染色体切断のパターンが明らかになれば、任意の染色体部位で欠失を誘導する技術の開発につながる可能性がある。
|