研究課題/領域番号 |
22K20579
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
辻 健也 京都大学, 農学研究科, 特定研究員 (10965940)
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研究期間 (年度) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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キーワード | 植物病原菌 / 有性生殖 / 子嚢胞子 / MSUD / セプチン |
研究実績の概要 |
病原糸状菌Bipolaris maydisのセプチンが正常な子嚢胞子形成に必要であることを見出した。また、この研究から本菌にMSUD(meiotic silencing by unpaired DNA)が生じていることを明らかにし、この現象を抑制することにより子嚢内の蛍光タンパク質を用いたタンパク質の局在解析を可能にした。本研究はRNA-seqを用いてセプチンの関連因子を探索すると共に、それらの因子および子嚢胞子形成に関連する因子の子嚢内における局在解析を実施することにより子嚢胞子形成の分子発生メカニズムを明らかにすることを目的とする。 1)子嚢胞子形態異常を引き起こす候補遺伝子を同定および機能の調査を行う。子嚢菌酵母や他の糸状子嚢菌の研究をもとに、子嚢胞子形成に関与すると推察される遺伝子のホモログを本菌で同定した。それら候補遺伝子の破壊株を作製し、交配試験に供試した。その結果、いくつかの遺伝子破壊株で子嚢胞子の形成異常が認められた。現在、これらの遺伝子に蛍光タンパク質遺伝子を融合させ、子嚢内における局在解析を試みている。 2)子嚢胞子形成時のRNA-Seq実施に向けた取り組み。本菌は交配開始からおよそ30日で子嚢胞子を形成する。また、子嚢胞子の成熟は同タイミングで生じるわけではなく、ある程度バラつきがある。そのため今回は、子嚢胞子形成時の正確な発現量データを得るために交配開始からの経過日数による子嚢および子嚢胞子の成熟度合いを調査した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
子嚢胞子形成異常を引き起こす株を複数作出することに成功した。しかし、現段階ではまだセプチン欠損株と同様の形態異常を引き起こす遺伝子破壊株は得られていない。また、令和4年度に取り組む予定だったRNA-Seq解析について、子嚢胞子形成の正確な成熟タイミングを計るための観察に時間を要したため実施できなかった。そのためRNA-Seqは次年度に予定を変更した。以上のことから、研究課題はやや遅れが生じていると考える。
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今後の研究の推進方策 |
子嚢胞子形成に重要な役割を持つとされる遺伝子は蛍光タンパク質を用いた局在解析を行い、子嚢胞子形成における詳しい機能の推定を行っていく。残りの候補遺伝子については随時、破壊株の作出および交配試験に取り組む予定である。令和4年度に実施できなかったRNA-Seqに関しては今年度に取り組み、子嚢胞子形成に関与する遺伝子およびセプチンの制御に関与する遺伝子の探索を行う。
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