オオムギのRmo2はコムギ菌・シコクビエ菌に共通する非病原力遺伝子PBY2を認識する一方、コムギのRwt7はエンバク菌・ライグラス菌・シコクビエ菌に共通する非病原力遺伝子PWT7を認識する。オオムギの抵抗性遺伝子Rmo2とコムギの抵抗性遺伝子Rwt7のドメイン構造を再予測し、各遺伝子のドメインをスワップさせたキメラコンストラクトを再作成した。これらの抵抗性遺伝子としての機能を確認するために、オオムギ・コムギのプロトプラストを用いた迅速な細胞死アッセイ系を構築した。作成したスワッピングコンストラクトを用いてオオムギプロトプラストアッセイを行ったところ、推定認識ドメイン(HMA)をRwt7のものに置換したRmo2がPBY2認識能を失う一方でPWT7認識能を獲得する、という期待通りの結果を得た。一方、推定認識ドメインをRmo2のものに置換したRwt7については、期待通りの結果は得られなかった。以上をまとめると、オオムギの遺伝子Rmo2を基盤とするコンストラクトをオオムギプロトプラストでアッセイすると期待通りの結果が得られるが、コムギの遺伝子Rwt7 を基盤とするコンストラクトをオオムギプロトプラストでアッセイしても、期待通りの結果が得られていないということになる。これは、オオムギとコムギの認識・情報伝達機構の差に起因する可能性があると考えた。また、Yeast Two-Hybrid法を用いて分子間相互作用解析を行ったところ、PBY2とRmo2-HMAは直接相互作用することが確認されたが、PWT7とRWT7間では相互作用が見られなかった。
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