本研究の目的は、開発途上国農家の所得変動要因と消費支出変化の関係性を整理し、特に栄養状態改善に寄与する財への支出に影響を及ぼし易い所得源の存在を検証することである。世界でも特に栄養不良の問題が深刻であるマダガスカルにおいて、家計調査を実施した。約550世帯の所得変動、消費内容変化の分析の結果、農業労働賃を除いた農外労働所得と稲作によるコメ販売所得の向上は調査対象地域で特に不足している栄養素の供給源である肉・魚類の消費支出額を増やす一方、コメ以外の作物生産による販売所得においてはその影響がみられないなど所得源による影響の違いを示唆する結果が示された。
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