全ゲノムシークエンスが一般的な現在も、トキソプラズマの分子疫学調査の多くはわずかな数のマーカー遺伝子から得られる一塩基多型(SNP)の情報に依存している。性的組換えによってゲノムがダイナミックに変化するトキソプラズマにおいて、不十分な数のマーカーに基づく分類法は多様性を過小評価し、遺伝子型の誤判定を引き起こす。本研究は、東アジアのトキソプラズマを対象とした世界初の集団ゲノミクス研究であり、極東アジア株のゲノム構造を明らかとした。さらに、南北アメリカ大陸のトキソプラズマと共通した新規の祖先系統を特定し、東アジアのトキソプラズマの進化史の解明に寄与する知見が提供された。
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