哺乳類の卵細胞系列の発生過程では、胎生期の特定の時期に全体の約2/3の卵母細胞が細胞死により失われる。なぜ卵母細胞の大規模な細胞死が誘導されるのか?本研究は卵母細胞の生死の運命決定機構を明らかにし、その生理学的意義に迫る。卵母細胞同士が連結した「卵母細胞シスト」という合胞体が形成され、一定期間を経たのちに連結が崩壊することで、卵母細胞の生死の運命決定が行われる。本研究では、体外誘導系を用いて、卵母細胞シストの形成から崩壊までの一連の現象をライブイメージングにより観察する系を確立し、その分子基盤と意義を解明することを目的とする。 研究期間中では、オルガネラ動態を可視化するためのレポーターES細胞の作製と、イメージングシステムの構築をおこなった。 レポーターES細胞は、対象とする各オルガネラへの輸送シグナルを付加した蛍光タンパク質の動態を観察することで、各オルガネラの動態を観察可能となった。 イメージングシステムの構築について、高解像度でのオルガネラ観察を可能にするとともに、生殖細胞の成熟を担保可能な培養系を目指した。組織の厚みを制御し、光学的アクセスを担保することで、連続的な観察が可能となった。 最終年度は、構築したイメージングシステムを用いてオルガネラ動態の観察をおこなった。シスト動態が大きく変化する2日から4日間についてオルガネラ動態の観察をおこなうことで、ダイナミックなオルガネラの動態を追跡した。
|