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2023 年度 実績報告書

ミトコンドリアユビキチン修飾シグナルのシステム解明

研究課題

研究課題/領域番号 22K20637
研究機関学習院大学

研究代表者

伊藤 直樹  学習院大学, 理学部, 研究員 (20965834)

研究期間 (年度) 2022-08-31 – 2024-03-31
キーワードミトコンドリア / ユビキチン修飾 / ユビキチンリガーゼ / 鉄代謝
研究実績の概要

ユビキチン鎖に関する解析については、OTUD4欠損細胞の樹立と各種OTUD4変異体の作製が完了し具体的な解析の準備が整った。樹立した薬剤誘導性MITOLノックダウン細胞を用いた解析では、まず既報基質の過剰発現系にて検討した。しかし、ノックダウン処理前から基質に対するユビキチン化修飾が少なく、薬剤3時間処理によりMITOLを消失させても変化がみられなかった。これは、ウエスタンブロットおよびゲノムシークエンスにより、ユビキチン化活性のあるMITOLの発現量が半減していることに起因していると考えられる。2023年度は目的の細胞の再作製を行った。
MITOLの新規基質HMOX2の解析については十分に目標を達成する成果が得られた。ミトコンドリアの電子伝達系において鉄は必須金属であるにも関わらず、ミトコンドリアへの鉄供給メカニズムは不明な点が多い。キレート剤処理あるいは鉄輸送体のノックダウンによりミトコンドリア内の鉄を欠乏させると、MITOLによるHMOX2へのユビキチン化が亢進することが明らかになった。予定していたレポーターアッセイを実施したところ、ユビキチン化されないHMOX2-KR変異体では酵素活性が低下していることを示す結果が得られた。また、外部の専門家に依頼してミトコンドリア内の鉄量を測定すると、野生型に比べHMOX2欠損細胞では鉄量が減少し、HMOX2-KR変異体を再発現させても回復しなかった。ミトコンドリア呼吸能については予想通り、欠損細胞で低下し、野生型の再発現では回復する一方で、HMOX2-KR変異体では回復しなかった。以上の結果から、MITOLはHMOX2をユビキチン化することでその酵素活性を上昇させ、ミトコンドリアへの鉄供給を促進し呼吸能維持に寄与していることが示唆された。一連の成果をまとめた論文はまもなく投稿予定である。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2023

すべて 学会発表 (2件) 図書 (1件)

  • [学会発表] ミトコンドリア-小胞体接触場を介したミトコンドリア鉄供給機構2023

    • 著者名/発表者名
      大塩 聖, 椎葉 一心, 柳 茂, 伊藤 直樹
    • 学会等名
      第46回日本分子生物学会年会
  • [学会発表] オルガネラ接触場を介したミトコンドリア鉄供給機構2023

    • 著者名/発表者名
      大塩 聖, 椎葉 一心, 伊藤 直樹, 柳 茂
    • 学会等名
      メタルバイオサイエンス研究会
  • [図書] 実験医学増刊 Vol.41 No.5 ミトコンドリア 疾患治療の新時代, 第1章-7 パーキンソン病原因遺伝子産物Parkinの光と影, pp.54-592023

    • 著者名/発表者名
      柳茂,三牧正和/編, 椎葉一心,伊藤直樹,柳 茂
    • 総ページ数
      245
    • 出版者
      羊土社

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公開日: 2024-12-25  

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