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2023 年度 実績報告書

基底膜による老化抑制機構の研究

研究課題

研究課題/領域番号 22K20658
研究機関関西学院大学

研究代表者

柴田 幸政  関西学院大学, 生命環境学部, 講師 (80314053)

研究期間 (年度) 2022-08-31 – 2024-03-31
キーワード老化 / コンドロイチン / C. elegans / ADAMTSプロテアーゼ / cell migration / 基底膜
研究実績の概要

本研究では、基底膜による老化抑制機構があることを示し、その実体を明らかにすることを目的としている。この目的は達成することができ、Scientific reports誌に論文として発表した。具体的にはまず細胞外マトリックスのコンドロイチンに着目し、C. elegansコンドロイチン重合因子MIG-22のの機能獲得(gf)型変異を同定し、この変異体でコンドロイチン量が野生型の2倍に増加していることを示した。コンドロイチンはコンドロイチン合成酵素SQV-5とMIG-22の複合体によって合成され、mig-22gf変異はコンドロイチン合成能を亢進させると考えられる。mig-22gf変異の単離で、既存のsqv-5機能低下型(rf)変異と合わせてコンドロイチン量を遺伝学的に操作することが可能となった。そこで、これらを用いてコンドロイチンが寿命と健康寿命を延ばす働きがあることを明らかにした。従来から、コンドロイチンの摂取によって寿命が延長することは知られていたが、体内のコンドロイチンの増加が関与することを明確に示したのは今回が初めてであり、また、健康寿命への効果を示したのも初めてであった。
さらに、基底膜の再構成に必要なADAMTSプロテアーゼのC. elegans相同分子MIG-17の変異体では、寿命には変化がないが、健康寿命が短くなることを明らかにした。興味深いことに、mig-17変異体の短い健康寿命は、mig-22gf変異によって抑圧されることも見つけた。コンドロイチンはコアタンパク質と結合し、コンドロイチンプロテオグリカンとして細胞外マトリックスに存在することが知られている。本課題の成果から、コンドロイチンが基底膜において、ADAMTSプロテアーゼの下流で老化抑制を行うことを示すことができ、当初の目的を達成することができた。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2024 2023 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Endogenous chondroitin extends the lifespan and healthspan in C. elegans2024

    • 著者名/発表者名
      Shibata Yukimasa、Tanaka Yuri、Sasakura Hiroyuki、Morioka Yuki、Sassa Toshihiro、Fujii Shion、Mitsuzumi Kaito、Ikeno Masashi、Kubota Yukihiko、Kimura Kenji、Toyoda Hidenao、Takeuchi Kosei、Nishiwaki Kiyoji
    • 雑誌名

      Scientific Reports

      巻: 14 ページ: -

    • DOI

      10.1038/s41598-024-55417-7

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] A gain-of-function mutation in chondroitin polymerizing factor extends lifespan and healthspan2023

    • 著者名/発表者名
      Yukimasa Shibata, Yuri Tanaka, Shion Fujii, Toshihiro Sassa, Hidenao Toyoda, and Kiyoji Nishiwaki
    • 学会等名
      24th International C. elegans meeting
    • 国際学会
  • [学会発表] コンドロイチンによる老化抑制とチューブ状リソソームの形成阻害2023

    • 著者名/発表者名
      柴田幸政, 田中友梨, 笹倉寛之, 森岡 幸, 佐々壽浩, 藤井志穏, 池野正史, 豊田英尚, 武内恒成, 西脇清二
    • 学会等名
      第46回日本分子生物学会年会
  • [備考] C. elegansにおいて内在性コンドロイチンは寿命と健康寿命を延ばすことを発見!

    • URL

      https://www.kwansei.ac.jp/news/detail/5131

URL: 

公開日: 2024-12-25  

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