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2022 年度 実施状況報告書

宿主の変態に着目したボルバキアが持つ新規機能の解明

研究課題

研究課題/領域番号 22K20663
研究機関福井大学

研究代表者

宮田 真衣  福井大学, 学術研究院工学系部門, 助教 (70946681)

研究期間 (年度) 2022-08-31 – 2024-03-31
キーワードボルバキア / イラクサギンウワバ / 細胞質不和合 / 生殖操作
研究実績の概要

昆虫に感染する細胞内共生細菌ボルバキアは、宿主の生殖を操作することで知られている。その一方で、生殖操作以外の宿主へ及ぼす影響や、そのメカニズムについては不明な点が多い。チョウ目ヤガ科の昆虫であるイラクサギンウワバ(以下、イラクサ)において、抗生物質処理によるボルバキアの除去により、生存率が大幅に減少する現象を確認した。本研究は、イラクサに感染するボルバキアが宿主の脱皮や変態に影響を及ぼしていると仮定し、ボルバキア除去による死亡のメカニズムを明らかにすることを目的としている。
イラクサの生存に影響を及ぼすボルバキアは、現在関東地方のイラクサでのみ感染が広がっている系統である。そのため、本研究を進めるにあたり、最初に福井県において供試虫であるイラクサのボルバキアについて調査を行った。福井県産イラクサについて、ボルバキアのgatB領域の一部の塩基配列を決定した結果、現在関東地方で感染が広がっている系統と同じ系統に感染していることが明らかとなった。そこで実験の準備として、テトラサイクリン処理によってボルバキアを除去したイラクサの作出を行った。福井県産イラクサについて交配実験を行った結果、関東のイラクサ同様に細胞質不和合を引き起こすことが明らかとなった。これらの結果から、関東地方で感染を広げている系統は、他の地域においても感染を広げている可能性が考えられた。
今後は、昨年度に用意できたサンプルを用いてボルバキアの感染の有無がイラクサ体内でのエクジソン濃度に影響を与えるか、またイラクサのボルバキアの体内での局在について調査することで、ボルバキア除去によるイラクサの死亡メカニズムについて調査を進めていく予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

福井県産イラクサには、関東のイラクサに感染するボルバキアと同じ系統が感染していることが確認できたため、実験の準備としてボルバキアを除去したイラクサを作出した。今年度は、これらのイラクサのサンプルを用いて研究を進める。

今後の研究の推進方策

昨年度の福井県産イラクサの飼育を進めながら並行して、免疫染色によるイラクサギンウワバ体内のボルバキアの局在の調査と、イラクサ体内でのエクジソン濃度の測定について予備実験を進めている。今年度は、昨年度に準備したサンプルを用いてこれらの実験を進める予定である。

次年度使用額が生じた理由

前倒し支払の請求により、サンプル保存用の冷凍庫を購入した。この購入の際の残額が、次年度に繰り越されたため。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2023 2022

すべて 学会発表 (4件)

  • [学会発表] 昆虫培養細胞を用いたメス化能を持つボルバキアのスクリーニング2023

    • 著者名/発表者名
      杉本 貴史,Heran Benjamin,宮田 真衣,佐々木 哲彦,陰山 大輔
    • 学会等名
      第67回日本応用動物昆虫学会大会
  • [学会発表] 同所的に存在する2種のウワバに感染するボルバキアが宿主へ及ぼす影響の比較2023

    • 著者名/発表者名
      宮田 真衣,元木 彩子,野村 昌史
    • 学会等名
      第67回日本応用動物昆虫学会大会
  • [学会発表] ツマジロクサヨトウの防除に向けた細胞内共生細菌Wolbachia の種間移植2023

    • 著者名/発表者名
      岡田杏理,宮田真衣,野村昌史
    • 学会等名
      第67回日本応用動物昆虫学会大会
  • [学会発表] ツマジロクサヨトウの防除に向けた細胞内共生細菌Wolbachia の種間移植実験2022

    • 著者名/発表者名
      岡田杏理,宮田真衣,野村昌史
    • 学会等名
      第26回農林害虫防除研究会東京大会

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公開日: 2023-12-25  

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