研究課題/領域番号 |
22K20664
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
松村 健太郎 岡山大学, 環境生命科学学域, 特任助教 (50963229)
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研究期間 (年度) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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キーワード | 活動性 / 人為選抜 / 進化生態学 / 行動生態学 / 性選択 |
研究実績の概要 |
多くの生物において、「活動性」は、捕食者回避、交尾行動、社会性、個体群相互作用、群集構造など様々な生態学的事象の中心となる形質である。一方で、活動性には個体差が見られることから、活動性の高低にはそれぞれ利益とコストが存在することが予想される。しかし、活動性の個体差に対する進化生態学的な実証研究はほとんどない。そこで本研究では、全ゲノム情報が既知のモデル生物であるコクヌストモドキ(Tribolium castaneum)を対象として、先行研究によって育種された遺伝的に活動性が高い系統と低い系統を用いて、繁殖形質や生活史形質および標的遺伝子を選抜系統間で比較する計画を立てた。先行研究によって確立された遺伝的に活動性が高いH系統と低いL系統を用いて、雄の繁殖形質としての魅力度、交尾成功、そして父性成功をそれぞれ比較した。その結果、魅力度に系統間差は見られなかったが、交尾成功はH系統の方が高く、父性成功はL系統の方が高いことが明らかになった。これらの研究結果をまとめた論文が、海外の科学雑誌である「Journal of Evolutionary Biology」に掲載された(Matsumura 2022)。また、生活史形質や雌の繁殖形質の選抜系統間比較も行い、その結果をまとめた論文化を進めている。さらに、活動性を制御する遺伝子を特定するためのRNAシークエンス解析の準備を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画の一つであった、遺伝的に活動性が高いH系統と低いL系統を用いた雄の繁殖形質としての①魅力度、②交尾成功、そして③父性成功の比較を行った。その結果、魅力度に系統間差は見られなかったが、交尾成功はH系統の方が高く、父性成功はL系統の方が高いことが明らかになった。これらの研究結果をまとめた論文が、海外の科学雑誌である「Journal of Evolutionary Biology」に掲載された(Matsumura 2022)。また、生活史形質や雌の繁殖形質の選抜系統間比較も行い、現在はその結果をまとめて論文化を進めている。さらに、活動性を制御する遺伝子を特定するためのRNAシークエンス解析の準備も順調に進んでいる。これらのことから、研究課題の進捗状況は「おおむね順調に進展している」と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
生活史形質や雌の繁殖形質の調査結果をまとめた論文を、海外の科学雑誌に投稿する。また遺伝子発現量をH系統とL系統の間で比較し、候補遺伝子に対するRNA干渉実験を行い、活動性を制御する遺伝子の特定を試みる。コクヌストモドキの野外個体群を採集し、活動性に地理的変異が見られるかどうかを調査する。
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次年度使用額が生じた理由 |
2022年度に遂行出来なかった、実験材料であるコクヌストモドキの野外個体群の採集を、2023年度に実行する計画である。採集の際に必要となる、公共交通機関を利用した移動と、レンタカーを利用した移動などの費用として、助成金を使用する。
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