研究課題/領域番号 |
22K20665
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0703:個体レベルから集団レベルの生物学と人類学およびその関連分野
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研究機関 | 富山県立大学 |
研究代表者 |
孫田 佳奈 富山県立大学, 工学部, 助教 (10963415)
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研究期間 (年度) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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キーワード | 光環境適応 / 柵状組織細胞 / 平行進化 / 自然選択 / エコゲノミクス |
研究成果の概要 |
弱光環境に適応的な表現型である逆円錐形の柵状組織細胞はユキノシタ科のダイモンジソウにおいて系統平行的に進化してきた。本研究では、細胞の形の変異を生じる遺伝的基盤を明らかにすることを目的とした。ダイモンジソウのゲノムを新規に構築し、ゲノムスキャンによって細胞の形に対応する遺伝的変異を探索した。2地点における光生態型(明所型と暗所型)を対象に、塩基置換や染色体構造変異を探索したものの、細胞の形の分化に関わる遺伝領域を特定するには至らなかった。今後、詳細な形態計測に基づく個体の選抜を行うこと、また発現量変動やエピジェネティック変異の関与にも着目し遺伝的基盤を明らかにしていく必要があることがわかった。
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自由記述の分野 |
植物系統進化学
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究では柵状組織細胞の形の変異を生じる遺伝的基盤の解明には至らなかったものの、野生植物において細胞の形には変異の幅があること、そして可塑性によって細胞の形が柔軟に調整されている可能性を示唆することができた。弱光適応機構の解明においては、このような表現型の変異を包括的に評価していく必要があることがわかった。また、本研究では新規にダイモンジソウのゲノム配列決定を行った。これは、これまでゲノムがほとんど解読されてこなかったユキノシタ科植物において大きな前進となった。今後のゲノム研究の基盤となるデータを提示できた点も、本研究の成果の一つである。
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