本研究の目的は,在来,外来および交雑個体の分布と存続に関与する生態・遺伝基盤を明らかにすることである。具体的には,交雑個体の生態情報に富む北海道空知川の外来カワマスと在来イワナの交雑をモデルに,野外調査とRNA-seqを用いた適応関連遺伝子の探索を実施した。本研究の結果から,高水温河川と低水温河川の間で,代謝,免疫に関する遺伝子の発現量が異なっていることがわかった。こうした遺伝子が,交雑個体の水温適応に関与していると考えられた。今後,これまでに集めてきた過去の生態・環境データと照らし合わせ,適応関連候補遺伝子の時間的な分布の変動を追跡する研究の基盤が整った。
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