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2023 年度 実績報告書

渡り経路の多様性をもたらした歴史的偶然性の解明:日本の渡り鳥に着目して

研究課題

研究課題/領域番号 22K20670
研究機関国立研究開発法人森林研究・整備機構

研究代表者

青木 大輔  国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 任期付研究員 (80963818)

研究期間 (年度) 2022-08-31 – 2024-03-31
キーワード歴史的偶然性 / 適応進化 / 自然選択 / 渡り鳥 / バイオロギング / 集団ゲノミクス
研究実績の概要

本研究では、日本の渡り鳥をモデルに、渡り経路が種間で多様に進化した背景に、現在の環境への適応だけでなく、種ごとの進化の歴史の影響(歴史的偶然性)の影響が重要だったことを解明することである。当該年度では、①最先端の遺伝子解析である集団ゲノミクス手法を実施し、日本の渡り鳥の大陸での歴史を復元すること、②渡り経路の進化が、環境適応のみか、それとも復元された大陸の歴史による制約も込みで説明できるかどうかの検証を目的とした。

①については、前年度立ち上げた実験環境を用いて、ノビタキ12個体、キビタキ12個体の全ゲノムリシーケンスのためのライブラリ調整を実施し、350ギガ塩基対におよぶデータの取得に成功した。また、アカモズおよびシマクイナの次世代シーケンサーデータを遺伝解析し、集団動態を復元した。その結果、種間で異なる歴史を通じた日本集団の形成史が復元できた。具体的には、アカモズは中国から日本への移住後、日本から朝鮮半島への遺伝子流動の可能性が検出され、シマクイナでは極東ロシアからの移住と日本から大陸への遺伝子流動が復元できた。
②については、アカモズとノビタキにおいて、復元した大陸での歴史を考慮した種分布モデルによって大陸上の過去の分布域を推定し、この地域が渡り経路を説明するかどうかをシミュレーションによって検証した。その結果、環境適応だけでなく過去の分布域の強い影響を検出した。

これらの研究結果は、渡り経路の種間の違いが適応進化によって駆動されてきたというこれまでの仮説に異議を唱えるものであり、新しい発見につながった。さらに、①で得られたデータ量は膨大であり、現在解析中であるが、②で発見したような複雑な遺伝子流動の歴史が想定される。今後の渡り経路の進化のモデル化では、このような遺伝子流動の影響を考慮することが重要だと考えられた。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2024 2023 その他

すべて 国際共同研究 (2件) 学会発表 (2件)

  • [国際共同研究] Swiss Ornithological Institute/University of Zurich/University of Lausanne(スイス)

    • 国名
      スイス
    • 外国機関名
      Swiss Ornithological Institute/University of Zurich/University of Lausanne
  • [国際共同研究] Anhalt University of Applied Science/Koblenz-Landau University(ドイツ)

    • 国名
      ドイツ
    • 外国機関名
      Anhalt University of Applied Science/Koblenz-Landau University
  • [学会発表] 生物地理学的レガシーは鳥類の渡り経路の種差を説明する2024

    • 著者名/発表者名
      青木大輔・松宮裕秋・赤松 あかり・原星一・古巻翔平・髙木昌興
    • 学会等名
      第71回日本生態学会大会
  • [学会発表] 島は大陸進化の転機?集団動態解析による逆移住プロセスの解明2023

    • 著者名/発表者名
      青木大輔・先崎理之・安藤温子・小田谷嘉弥・Wieland Heim・北沢宗大・Tom Wulf・Daronja Trense・Marc Bastardot・福田篤徳・高橋雅雄・今藤夏子
    • 学会等名
      第39回個体群生態学会大会

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公開日: 2024-12-25  

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