多くの動物が一日の決まった時間に睡眠をとるが、そのタイミングの制御には概日リズムが重要である。しかし、概日リズムが睡眠のタイミングを決定する神経機構はほとんどわかっていない。本研究では、申請者らのグループによって睡眠研究に新たに導入されたオーストラリアンドラゴン(以下、ドラゴン)を用いることで、概日リズムによる睡眠制御機構の解明を目指す。 今期の研究では、ドラゴンのin vivo標本を用いることで、行動や睡眠-覚醒の概日リズムを検討した。これまで、ドラゴンの行動や睡眠-覚醒の概日リズムを検討した研究は存在しなかった。そこで、光が全くつかない恒暗条件下でドラゴンの行動および睡眠の測定を行った。その結果、ドラゴンの行動リズムおよび睡眠-覚醒リズムが概日リズムを有することが明らかになった。この結果はドラゴンが概日リズム研究にも有用であることを示すとともに、その摘出全脳標本が概日リズム研究に応用可能であることを示す。また、摘出全脳標本の作製方法の検討など一部の予備実験についても並行して行った。今後も引き続き摘出全脳標本を用いて概日リズムと睡眠制御機構の関係の解明に迫る。
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