研究課題
多くの動物が一日の決まった時間に睡眠をとるが、そのタイミングの制御には概日リズムが重要である。しかし、概日リズムが睡眠のタイミングを決定する神経機構はほとんどわかっていない。本研究では、申請者らのグループによって睡眠研究に新たに導入されたオーストラリアンドラゴン(以下、ドラゴン)を用いることで、概日リズムによる睡眠制御機構の解明を目指す。今期は、前期の研究に引き続き、ドラゴンのin vivo標本を用いることで、行動や睡眠-覚醒の概日リズムを検討した。これまで、ドラゴンの行動や睡眠-覚醒の概日リズムを検討した研究は存在しなかった。そこで、光が全くつかない恒暗条件下でドラゴンの行動および睡眠の測定を行った。その結果、ドラゴンの行動リズムおよび睡眠-覚醒リズムが概日リズムを有することが明らかになった。この結果はドラゴンが概日リズム研究にも有用であることを示すとともに、その摘出全脳標本が概日リズム研究に応用可能であることを示す。さらに、摘出全脳標本から概日リズム振動を計測する手法の確立を目指して、まずは、スライス脳標本からの神経活動概日リズムの計測を目指した。そのために、爬虫類視交叉上核のスライス標本作成の手法を確立した。神経活動の計測には、ガラス基板に64個の電極がプリントされた多点電極アレイを用いて、複数個所の神経細胞からの神経活動記録を行った。その結果、特定の領域から約24時間の周期で発火頻度が変化する傾向が見られた。この結果から、爬虫類の脳スライス標本からも概日リズムの計測が可能であることが示唆された。
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (7件)
Translational Psychiatry
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