今後の研究の推進方策 |
PBMCのmigrationのプロセスは, PBMCと血管内皮細胞の相互作用に大きく依存しており(Takeshita and Ransohoff, 2012),さらにペリサイトやアストロサイトといったBBB構成細胞もBBBの機能に大きく関わっている(Man et a., 2012 / Shimizu et al, 2013).従って,PBMCからのB細胞除去がPBMCのmigrationを抑制するかどうかを正確に検証するためには,これらのBBB構成細胞を組み込んだmigration assay系での評価が必要である.今回の検討では,BBB構成細胞が用いられておらず,それ故にB細胞除去によるPBMCのmigration抑制が確認できなかった可能性がある.我々の研究室では既に,ヒト由来の脳微小血管内皮細胞株,ペリサイト株,アストロサイト株の培養細胞株を樹立しているだけでなく(Sano et al, 2010 / Haruki et al, 2013/ Shimizu et al, 2013),これらのBBB構成細胞のマルチ培養システムの構築に成功している(Takeshita et al, 2021).今後は,本研究で新規に作製した3Dフローメンブレン上でのBBB構成細胞のマルチ培養を確立し,BBB構成細胞を組み込んだmigration assay系を用いて,PBMCからのB細胞除去がPBMCのmigrationを抑制するかどうかをより正確に検証する必要がある.また,健常人だけではなく,MSやNMO患者PBMCを用いて同様の検討を行う必要がある.
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