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2022 年度 実施状況報告書

自己免疫性神経炎症疾患におけるB細胞枯渇療法の作用機序の解明

研究課題

研究課題/領域番号 22K20685
研究機関山口大学

研究代表者

藤川 晋  山口大学, 医学部附属病院, 助教 (40967113)

研究期間 (年度) 2022-08-31 – 2024-03-31
キーワード生理的流速負荷 / in vitro BBBモデル / PBMC migration / B-cell deletion
研究実績の概要

PBMCのmigration assayの装置の一部である3Dフローメンブレンが製造中止となったため,既製品の3Dフローメンブレンに替わる,新規3Dフローメンブレンを設計,作製した.当初のプロトタイプでは,メンブレン接着面の凹凸や,メンブレンの皺が問題であったが,設計の改良によってこれらの問題の軽減に成功した.次に,製造メーカー2社が製造したそれぞれのメンブレンの性能を評価し,本実験系に適したメンブレンを選定した.また,ひとつの3Dフローチャンバーには,3つのメンブレンが順に配置されているが,このメンブレンの配置の違いはmigrationに影響しないことを確認した.また,本実験系を用いて,過去の報告と同様にケモカインCCL2,CXCL12によってPBMCのmigrationが促進することを確認した.よって,新規3Dフローメンブレンを用いて作製した生理的流速負荷in vitro BBBモデルは,PBMCのmigrationの変化をとらえることができる評価系であると判断した.
CD19 陽性B細胞分離用磁気ビーズを用いた処理によってPBMCからB細胞を除去できることをフローサイトメトリーで確認した.本研究において我々は, BBBを介した自己反応性リンパ球の中枢神経浸潤にはB細胞が必要であり,抗B細胞療法の作用機序は自己反応性リンパ球の中枢神経浸潤の抑制にあるという仮説を設定した.この仮説の立証を目的として,新規に作製したmigration assay 系を用いて,健常人PBMCからのCD19 陽性B細胞分離用磁気ビーズを用いてB細胞除去がPBMCのmigrationを抑制するかどうかを検討した.しかしながら,これまでの検討では,健常人PBMCからB細胞を除去してもPBMCのmigrationは抑制されなかった.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

既製品の実験装置の一部(3Dフローメンブレン)が製造中止となったため、これを自前で設計、製造し、性能評価するのに時間と労力を要した。

今後の研究の推進方策

PBMCのmigrationのプロセスは, PBMCと血管内皮細胞の相互作用に大きく依存しており(Takeshita and Ransohoff, 2012),さらにペリサイトやアストロサイトといったBBB構成細胞もBBBの機能に大きく関わっている(Man et a., 2012 / Shimizu et al, 2013).従って,PBMCからのB細胞除去がPBMCのmigrationを抑制するかどうかを正確に検証するためには,これらのBBB構成細胞を組み込んだmigration assay系での評価が必要である.今回の検討では,BBB構成細胞が用いられておらず,それ故にB細胞除去によるPBMCのmigration抑制が確認できなかった可能性がある.我々の研究室では既に,ヒト由来の脳微小血管内皮細胞株,ペリサイト株,アストロサイト株の培養細胞株を樹立しているだけでなく(Sano et al, 2010 / Haruki et al, 2013/ Shimizu et al, 2013),これらのBBB構成細胞のマルチ培養システムの構築に成功している(Takeshita et al, 2021).今後は,本研究で新規に作製した3Dフローメンブレン上でのBBB構成細胞のマルチ培養を確立し,BBB構成細胞を組み込んだmigration assay系を用いて,PBMCからのB細胞除去がPBMCのmigrationを抑制するかどうかをより正確に検証する必要がある.また,健常人だけではなく,MSやNMO患者PBMCを用いて同様の検討を行う必要がある.

次年度使用額が生じた理由

本年度のに患者検体を用いたBBBモデルによるバリア機能の評価を行う予定であったが、事前の基礎的検討に時間を要したため、消耗品の購入を見送り、未使用額が生じた。この未使用額については、令和5年度の研究費と合わせて、消耗品の購入にあてる。

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公開日: 2023-12-25  

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