研究課題/領域番号 |
22K20697
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
鈴木 敢三 東京理科大学, 先進工学部生命システム工学科, 助教 (80961961)
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研究期間 (年度) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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キーワード | 慢性ストレス / うつ病 / 海馬 |
研究実績の概要 |
慢性ストレスが、うつ病などの精神疾患の発症の原因になることが示唆されている。そのメカニズム解明のため、モデル動物に慢性的にストレスを負荷し、抑うつ・不安状態を行動学的に評価し、行動レベルから分子レベルまでの研究が行われている。海馬は認知、記憶や情動といった高次機能に関わることが知られ、うつ病を含む精神疾患で機能的・基質的変化が起こることが示唆されている。しかしながら、海馬領域内で、どの小領域や細胞群が慢性ストレスに関与するか未だ不明な点が多い。そこで、本研究では慢性ストレスマウスモデルを用いて、慢性ストレスに関与しうる海馬内小領域や細胞群を特定することを目的とした。そのため、2022年度は以下の実験を行った。 実験1)慢性ストレスマウスモデルを作成し、海馬領域内で最初期遺伝子群の定量を行い、神経活動に影響のある小領域や細胞群を探索した。具体的には、慢性的社会敗北ストレスモデルマウスとストレス因子であるコルチコステロンを慢性的に投与したマウスを作成し、定量PCRや免疫組織化学染色を用いて、海馬組織内で最初期遺伝子群の発現の定量解析を進め、慢性ストレスに関連する小領域の探索を行った。 実験2)慢性ストレス後の抑うつ様状態と最初期遺伝子群の発現の相関の高さを指標に、慢性ストレスに関与しうる海馬内領域の特定を目指した。慢性的なストレス負荷後のうつ様行動の指標である強制水泳試験や社会的逃避行動と最初期遺伝子群の発現の相関解析を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
慢性ストレスのマウスモデルの作成、うつ様行動を評価する行動評価が進み、慢性ストレスに寄与しうる海馬内の脳領域が特定されつつある。これらは、当年度の目標であり、順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、慢性ストレスに寄与する海馬内の小領域の探索を行う。また、神経活動依存的遺伝子プロモーターを有するアデノ随伴ウイルスベクターを作成し、慢性ストレスに関わる細胞群の同定や遺伝工学的に可視化できるか試みる。これらストレスに対する細胞応答と慢性ストレスの行動から、慢性ストレスに関わる海馬内の小領域や細胞群の特定や可視化に試みる。
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次年度使用額が生じた理由 |
慢性ストレスのマウスモデルの作成、行動評価が順調にすすんでおり、より有効的な経費の使用が可能となった。令和5年度に、予定しているアデノ随伴ウイルスベクターの作成費として使用する予定である。
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