研究課題
本研究の目的は、アンチセンス核酸(AON)によるエクソンスキップ法の標的配列として、スプライシング制御機構の重要なエレメントであるブランチポイント(BP)を活用する方法論を確立することである。AONによるエクソンスキップ法の標的はエクソン内スプライシング促進配列やスプライス部位が主流であり、スプライシング制御機構の重要なエレメントであるBPは標的とされていない。申請者らは福山型先天性筋ジストロフィーの異常スプライシングを来す変異で、BPもAONの標的配列の有用な候補であることを見出した。本研究ではその知見を発展させ、どのような配列的特徴を持つBPが標的として有効か他の遺伝性疾患においても解析している。本年度はin silicoツールで予測されたBPを標的としたAONを用いて、細胞実験・RT-PCRを実施し、AONのエクソンスキップ評価を行い、有効なエクソンの分類・抽出を行った。現在も分類・抽出を行っており、今後さらに実施例を追加し、有効なAONではどのような規則性があるのかを明らかにする。本研究の成果は、エクソンスキップ法の標的候補配列を増やし、様々な遺伝子疾患に対し、副作用のより少ない治療に繋がる可能性に期待できる。
3: やや遅れている
研究代表者が研究期間中にその他の業務を行う必要が生じ、研究を一時期中断していたため。
有効なエクソンの分類・抽出をさらに実施していく。エクソンスキップすることができるAONにおいて、BPとスプライス部位のスコアの比較、有効なエクソン・BPの配列の特徴の解析を行い、規則性を見つけて、有効なBPのルール化を行う。ルール化ができたら今後の展望として、実際の遺伝子疾患の治療に向けたエクソンで有効性の検証を行い、BPをエクソンスキップ法の新たな標的配列として確立させる。
研究代表者が研究期間中にその他の業務を遂行する必要があったため、次年度使用額が生じた。次年度はさらに多くの対象エクソンで実験を行い、また研究発表を行って使用していく。
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Molecular Therapy - Nucleic Acids
巻: 33 ページ: 404~412
10.1016/j.omtn.2023.07.011