本研究では、FDA大規模有害事象報告(FAERS)データベースの解析から副作用の少ないランソプラゾールを見出した。さらにその効果をマウス内耳に対して組織学的・分子生物学的・in vivo生理学的手法により検証した。このような、臨床のデータサイエンスと多角的な実験科学的アプローチを融合した治療薬開発は、内耳疾患ではかつてない先進的な試みである。また、安全性が認められている既存承認薬を活用することにより、臨床の現場での使用を迅速に実現できる。シスプラチン難聴は成人・小児を問わず深刻な副作用であることから、本研究は社会的意義が極めて高い。
|