光・電子相関顕微鏡法は、蛍光観察で捉えた分子情報を形態情報に相関させることで目的構造の正確な定性・定量解析を行うための手法である。蛍光シグナルをもとに特定した目的領域に限定して電子顕微鏡解析を行うことができるため、解析の効率化を図ることもできる。しかし、組織などの大きな試料においては3次元でのデータ取得と相関が必須となる。また、目的領域の特定には光・電子に加え、エックス線による解析が必要となる。そのため、先端的設備を要する、データサイズが増大しスループットが低くなるなどの問題点があり、一般的には目的領域を正確に特定することが容易ではない。本研究ではこれらの問題を解決し、汎用性が高く誰にでも実行できるターゲティング法を開発することを目的とし、研究期間内に開発の第1段階である概念実証実験を完成させることを目指した。目的領域のターゲティングに必要なランドマークとして光学顕微鏡・電子顕微鏡試料中で識別できる蛍光目印を試料中に追加し、目印のサイズと密度、試料作製条件を最適化した。これによって試料作製の複数の段階において検出できる条件が決定し、目印の位置の追跡が可能であることが示された。一方、研究計画当初の目的であった、異なる試料作製段階の試料における目印の3次元座標情報の取得は、電子顕微鏡試料調整後にはとりわけ困難となった。そのため、連続切片全形と目印を含む画像を3次元データとして構築するために、取得・画像処理方法を決定し、電子顕微鏡解析前の目的領域のターゲティングのためのガイドデータの作成手順として整えた。
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