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2022 年度 実施状況報告書

微小血管網異常による組織機能の破綻を理解するマウスモデル解析系の開発

研究課題

研究課題/領域番号 22K20744
研究機関宮崎大学

研究代表者

小河 穂波  宮崎大学, 医学部, 助教 (30813290)

研究期間 (年度) 2022-08-31 – 2024-03-31
キーワード微小血管網 / 3次元構造解析 / マウスモデル / 老化 / 心臓 / 皮膚血管網 / ぺリサイト
研究実績の概要

加齢や生活習慣病による血管内皮細胞の機能低下と動脈硬化の進行は病態形成や個体老化に関与する。毛細血管レベルの微小血管網がどのように影響を受け、組織・期間として個体レベルの機能低下に繋がるのかが注目される。しかし、研究基盤となる十分な方法論の欠如が課題となっている。本研究では、高脂肪食と血管壁を固くするL-NAMEの投与によって作成できるHFpEF(収縮機能が保持された心不全)モデルマウスを血管内皮細胞障害モデルとして使用し、内皮細胞障害に伴う血管構成因子(基底膜、内皮細胞、ぺリサイト)の形態変化や機能異常がどのように組織や個体レベルの機能低下に繋がるのかを調べるための方法論と新しい評価基準の確立を目的とする。2022年10月から補助を受け、これまでに報告がなかったマウスの耳皮膚および心臓でのぺリサイトの免疫染色方法を確立した。2023年1月からHFpEFモデルマウスの作成を開始し、高脂肪食とL-NAME投与を15週間与えたマウスでは耳皮膚の微小血管網の密度低下が確認された。一方、心臓では一部のHFpEFモデルマウスで心肥大が見られたが、15週負荷期間ではHFpEF発症までには至らないことが分かってきた。
毛細血管マイクロスコープを用いた皮膚毛細血管網の観察に関してはマウスの足底にある微小血管網が経時的に観察しやすいことが分かってきた。
微小血管網異常を誘導するためのColl4 a1/a2遺伝子改変マウスの作製が進み、F1での個体を得ている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

理由①15週負荷のHFpEFモデルマウスの耳皮膚で微小血管網の密度低下が確認されたため。このことから、皮膚に関しては負荷15週を基軸に微小毛血管網の構成因子(基底膜、内皮細胞、ぺリサイト)の形態異常の解析が進められる。
理由②5週負荷のHFpEFモデルマウスの一部に心肥大が認められたため。高脂肪食とL-NAMEは内皮細胞障害モデルとして使用しており、HFpEF発症に至らずとも、その前段階として何らかの微小血管網異常が心臓でも生じていることが示唆される。
理由③微小血管網異常を人為的に誘導可能なColl4 a1/a2遺伝子改変マウスの作製が進んでいるため。
理由④耳皮膚ではこれまでにぺリサイトの染色報告がなく、ぺリサイトの染色に使われるNG2,PDGFRβ抗体できれいな染色が出来なかった。今回、耳皮膚でもぺリサイトを染める方法が見つかったことで、心臓・皮膚の両方でぺリサイトの観察が可能となり、内皮細胞障害に伴って表皮組織と深部組織に共通して生じるぺリサイトの形態異常を探すことが可能となった。また、HFpEFモデルマウスで確立した解析方法や評価基準を老化マウスやColl4 a1/a2遺伝子改変マウスの解析に応用できるため。

今後の研究の推進方策

方針①高脂肪食とL-NAME投与負荷15週を軸に微小毛血管網の構成因子(基底膜、内皮細胞、ぺリサイト)の形態異常の解析を行う。その中で、心臓微小血管網でも同様の異常が見られる現象を探し、皮膚微小血管網から心臓微小細血管網の状態を予測するための新しい評価基準の確立を模索する。
方針②老化マウスおよび、微小血管網異常を人為的に誘導したColl4 a1/a2遺伝子改変マウスで方針①で確立した評価基準が当てはまるかを検討する。
方針③毛細血管マイクロスコープによる微小血管網異常の評価基準を方針①②に基づいて設定する。
方針④HFpEFモデルマウスで微小血管網の周囲組織でみられる形態的異常を探す。人為的に微小血管網異常を誘導したColla4 a1/a2遺伝子改変マウスで同様の組織異常が誘発されるかを確認する。

次年度使用額が生じた理由

10月に補助の決定を受けてから使用し、現在で8カ月弱とまだ1年に達しておらす、HFpEFモデルマウス作成に関してテスト的に少数個体で解析を行った。現時点でのモデルマウス作成方法が使用可能であることが分かったため、今後は規模を拡張してモデルマウスを作成し、解析を進めて行く。そのため初年度の補助は年度を超えて使用することとなった。

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公開日: 2023-12-25  

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