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2022 年度 実施状況報告書

インフラマソームの細胞間伝播を介した炎症応答制御機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 22K20753
研究機関筑波大学

研究代表者

小倉 由希乃  筑波大学, 医学医療系, 助教 (60966597)

研究期間 (年度) 2022-08-31 – 2024-03-31
キーワードインフルエンザウイルス / 炎症応答 / インフラマソーム / シグナル伝達
研究実績の概要

インフラマソームは病原体やダメージ関連分子を認識して炎症性サイトカインの放出を誘導し、炎症反応において中心的役割を果たすタンパク質複合体である。インフラマソームはプリオン様の性質をもち、凝集体を作り(ASC speck)、細胞外に分泌され、細胞間を伝播する。これは隣接する非感染細胞からの連鎖的なサイトカイン分泌を促し、過剰な炎症反応を誘導する。本研究の目的は(1)マクロファージによる細胞外ASC speckの貪食機構と、(2)伝播後のASC動態に着目した炎症シグナル制御機構を明らかにすることで、過剰な炎症応答が誘導されるメカニズムを解明することである。令和4年度は、マクロファージ特異的な低分子量Gタンパク質Arf6欠損マウスにおいて、インフルエンザウイルス感染後の生存率、体重減少といった病態が著しく改善することを明らかにした。これにより、インフルエンザウイルス感染に応答したマクロファージによる細胞外ASC speckの貪食に、Arf6が必要とされる可能性が示唆された。
また、細胞外ASCの貪食受容体を同定するにあたり、最も主要な貪食誘導シグナルであるフォスファチジルセリン(PS) 経路の関与を検証した。AnnexinVの添加によりPS経路を阻害した際に、マクロファージによる細胞外ASC speckの貪食は抑制されなかった。これにより、PS以外の経路が関わることが示唆されたことから、受容体同定に向けた新規スクリーニング系の構築を行った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

マクロファージにおける細胞外ASCの貪食制御にArf6が関与することを明らかにしたため。また、細胞外ASC貪食受容体の同定を目指したスクリーニング系を構築したため。

今後の研究の推進方策

構築したスクリーニング系を用いてASC speckを認識する貪食受容体の同定を行う。また、同定した受容体を阻害することで、過剰な炎症が抑制され、インフルエンザウイルス感染後の病態が改善するのかをin vivoで検討する。併せて、伝播ASCによる炎症シグナル制御機構を明らかにする。貪食後のASC speckは、リソソームによる分解を回避していることから、ASC speckを含むリソソームでは、ダメージによりリソソーム膜成分が変化し、機能が低下していると考えられる。そこで、分離リソソームのリピドミクス解析により、伝播ASC speckによるリソソームの機能変化と、これによる炎症性サイトカイン産生への影響を検討する。

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公開日: 2023-12-25  

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