研究課題/領域番号 |
22K20762
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研究機関 | 大阪公立大学 |
研究代表者 |
武藤 芳美 大阪公立大学, 大学院医学研究科, 病院講師 (60831534)
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研究期間 (年度) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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キーワード | SVR / 肝がん / HCV / DAAs / 二次胆汁酸 |
研究実績の概要 |
本研究ではSVR後肝がんの発症メカニズム解明を行うことを目的としている。 先行研究から、HCV感染患者は他の肝疾患と比較して血漿二次胆汁酸濃度が著明に低いことが明らかになった。また、メタゲノム解析ではHCV感染患者の腸内細菌叢で二次胆汁酸産生に関するオペロン(bai-operon)を有する菌がほとんど認められなかった。HCV感染により腸内の二次胆汁酸産生菌が減少していると考えた。HCV感染で二次胆汁酸産生菌が減少する原因を解明し、二次胆汁酸に注目したSVR後肝がん発症メカニズムの解明を目標とする。 今年度はまず、DAAs治療前後の血漿胆汁酸濃度を比較することにより、HCV感染と胆汁酸の関係を検討した。50例のHCV患者(50代、男女25例、Ledipasvir/Sofosbuvir内服 25例、Glecaprevir/Pibrentasvir内服 25例、肝がん治療歴なし)を対象として、DAAs治療前後の血漿胆汁酸を比較したところ、DAAs治療前後で血漿二次胆汁酸組成が有意に変化することがわかった。今後は健常者やその他肝疾患患者との比較を行い、HCV感染と二次胆汁酸との関係をより詳細に検討する予定である。 次に、SVR後肝がん 45例、Control 36例の血漿および糞便サンプルを採取し、糞便DNAを用いた16S rRNA解析を施行した。Control群(SVR後の非発がん症例)と比較して、DAAs治療後の肝がん群に特徴的な菌種が抽出された。今後は抽出された候補菌の胆汁酸産生の有無、血漿胆汁酸との関係、発がんに関わるメカニズムを追求する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルス感染への対応のため、症例の新規集積が十分ではなかった。 対面でのディスカッションが困難であり、データ解析に遅れが生じている。
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今後の研究の推進方策 |
1年目の解析を継続する。患者メタデータを作成し、内服歴、血液検査結果、病理検査結果などと血漿胆汁酸組成、腸内細菌叢を統合したデータ解析を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
症例集積が遅れており、予定していたデータ解析を次年度に延期したため。
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