研究課題/領域番号 |
22K20771
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
森 大輝 大阪大学, 感染症総合教育研究拠点, 特任助教(常勤) (50907508)
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研究期間 (年度) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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キーワード | T細胞 / 免疫記憶 / シグナル伝達 |
研究実績の概要 |
免疫記憶を司るT細胞の人工的な活性化制御は、がんや感染症に対抗するための創薬標的として注目されている。その中でもT細胞に発現する補助刺激分子はT細胞の分化・生存を司る重要な分子群である。その為補助刺激分子によるT細胞活性化機構の解明は、効率よいワクチンの開発などに重要な課題である。本申請研究では、申請者がこれまでに見出した、補助刺激分子によるシグナル伝達経路と相互作用する分子群のT細胞での生理学的意義を解明することを目的として実行している。 当該年度は、これらの分子の機能を検討する実験系の立ち上げなどに従事した。このためにまず、所属研究所の共通機器であるフローサイトメーターを用いて免疫反応後に増殖するT細胞のサブセットを見分ける条件検討や抗体パネルの作成を行なった。また、今後使用する動物実験モデルの検討を行い、T細胞応答を観察するために最適な条件を見出すことに成功した。また、今後の実験に必須であったT細胞の移植モデルの実験系も樹立し、移植した抗原特異的T細胞が免疫応答にともなって活性化し増殖していることも確認できた。 これらの結果によって、本研究の目的とする、特定の分子のT細胞内での機能を検討する実験系を樹立することができた。そこで今後は今回樹立した実験系と、CRISRR-Cas9を用いた実験系を組み合わせ、申請者がこれまでに見出しているT細胞補助刺激シグナル伝達経路に関与する機能未知の分子の機能解析を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当該年度ではマルチカラーフローサイトメトリーによるT細胞サブセットを検出するための条件検討や、動物実験モデルの条件検討を行い、最適な条件を見出すことができた。一方、使用する予定であったCRISPR-Cas9を用いた実験系で使用予定である細胞特異的にCas9を発現させる実験系の効率が良くないことが明らかとなったが、改善可能である可能性が示されたため、2023年度に取り組む予定であり、2023年度前半には解決可能である見込みである。そのため本申請研究は現在のところ順調に進展していると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
当該年度に樹立した動物実験モデルやマルチカラーフローサイトメトリーの実験系を用いて、複数の分子のT細胞での機能を解析する。また、当初使用する予定であったCRISPR-Cas9を用いた実験系で使用予定である細胞特異的にCas9を発現させる実験系の効率が良くないことが明らかとなったため、これを改善するために幾つかのウイルスベクターを作成し、これを改善するための最適な方法見出すことを目的として研究を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
当該年度では、以前から研究室にあった抗体や実験動物が使用可能であったため、いくつかの購入予定であった物品が不要になったために生じた。次年度では動物実験モデルやマルチカラーフローサイトメトリーを用いた実験を複数実行予定であるため、本予算は実験動物の購入費・維持費や、抗体などの試薬購入費に使用予定である。
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