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2022 年度 実施状況報告書

孤立性先天性無脾症の新規責任遺伝子の同定と新しい疾患概念の確立

研究課題

研究課題/領域番号 22K20772
研究機関広島大学

研究代表者

浅野 孝基  広島大学, 病院(医), 助教 (50835501)

研究期間 (年度) 2022-08-31 – 2024-03-31
キーワード孤立性先天性無脾症 / 巨大血小板性血小板減少
研究実績の概要

孤立性先天性無脾症(以下、ICA)は生下時からの脾臓欠損を認める原発性免疫不全症である。現在までに同定されたICAの責任遺伝子は常染色体顕性のRPSA変異のみである。本研究では、「RPSA遺伝子に異常を認めないICA患者の一部は単一遺伝性疾患で説明が可能であり、未知の疾患責任遺伝子が存在する」という仮説のもと検討を行う。予備実験にで4症例で、MPIG6B遺伝子のホモ接合性変異を同定している。ICA以外の免疫不全症コホート解析からは同遺伝子に変異を認めず、遺伝統計学的解析からも本遺伝子変異がICAの新規責任遺伝子となると強く考えられた(p=8.2x10^-11)。また、これらの4症例はICAと巨大血小板性血小板減少の合併という同様の表現型を呈してたことから、本研究では、「MPIG6B遺伝子異常による血小板減少を伴うICA」という新規疾患概念の確率に挑戦する。
①「ICA患者における単一遺伝子異常の同定」としては、既に4症例のICA患者において新規責任遺伝子MPIG6Bのホモ接合性変異を同定しており、遺伝統計学的証明も終了している。追加症例を得るために、ICA+血小板減少の新規症例リクルートを行なっている。
②「同定されたMPIG6B遺伝子変異の病的意義の解明」のため機能解析実験を進めている。同定された変異はミスセンス変異、ナンセンス変異、スプライス変異であった。スプライス変異に関しては、exon-trapping assayを行い変異がスプライスに与える影響を確認した。同定された全変異について、プラスミド作成を行い現在機能解析実験を試みている。さらに、実際の患者細胞(血小板)を用いたたんぱく発現解析を予定している。MPIG6Bは血小板に主に発現している。患者が遠方であり輸送を含めた適切な実験系の確立が必要とされた。健常者の血小板を用いて輸送を含めた本実験系の確立を済ませた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究のためには、「ICA患者における単一遺伝子異常の同定」、「同定されたMPIG6B遺伝子変異の病的意義の解明」、「MPIG6B遺伝子異常に基づくICA+血小板減少という新規疾患概念の確立」という3つの過程が重要となる。
現在までに、「ICA患者における単一遺伝子異常の同定」としては、既に4症例のICA患者において新規責任遺伝子MPIG6Bのホモ接合性変異を同定しており、遺伝統計学的証明も終了している。追加症例を得るために、ICA+血小板減少の新規症例リクルートを行なっている。
さらには、「同定されたMPIG6B遺伝子変異の病的意義の解明」のため機能解析実験を進めている。同定された変異はミスセンス変異、ナンセンス変異、スプライス変異であった。スプライス変異に関しては、exon-trapping assayを行い変異がスプライスに与える影響を確認した。同定された全変異について、プラスミド作成を行い現在機能解析実験を試みている。さらに、実際の患者細胞(血小板)を用いたたんぱく発現解析を予定している。MPIG6Bは血小板に主に発現している。患者が遠方であり輸送を含めた適切な実験系の確立が必要とされた。健常者の血小板を用いて輸送を含めた本実験系の確立を済ませている。
また、「MPIG6B遺伝子異常に基づくICA+血小板減少という新規疾患概念の確立」に関しては、次年度から実施に移る予定である。

今後の研究の推進方策

前述の様に、機能解析実験、患者細胞を用いた病態解明実験を行なっている最中である。病態解明実験に関しては、実験系の確立を終了し、実際の解析に取り掛かる予定である。
「MPIG6B遺伝子異常に基づくICA+血小板減少という新規疾患概念の確立」に関しては、次年度から実施に移る予定である。

次年度使用額が生じた理由

前述にあるように、「同定されたMPIG6B遺伝子変異の病的意義の解明」のため機能解析実験、患者細胞を用いた病態解明実験を行なっている最中である。病態解明実験に関しては、実験系の確立を終了しており、現在患者細胞の取り寄せを行なっており本年度に実際の解析に取り掛かる予定である。これらの過程にて使用予定であった費用の残費を翌年度分使用額として申請する。
引き続く過程である「MPIG6B遺伝子異常に基づくICA+血小板減少という新規疾患概念の確立」に関しては、予定通り次年度から実施に移る予定である。

  • 研究成果

    (10件)

すべて 2023 2022

すべて 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 3件、 査読あり 5件) 学会発表 (5件) (うち招待講演 3件)

  • [雑誌論文] Rare predicted loss-of-function variants of type I IFN immunity genes are associated with life-threatening COVID-192023

    • 著者名/発表者名
      Matuozzo Daniela、Talouarn Estelle、Marchal Astrid、Zhang Peng、Manry Jeremy、Seeleuthner Yoann、Zhang Yu、Bolze Alexandre、Chaldebas Matthieu、Milisavljevic Baptiste、Gervais Adrian、Bastard Paul、Asano Takaki、et al.
    • 雑誌名

      Genome Medicine

      巻: 15 ページ: -

    • DOI

      10.1186/s13073-023-01173-8

    • 査読あり / 国際共著
  • [雑誌論文] Human PIK3R1 mutations disrupt lymphocyte differentiation to cause activated PI3Kδ syndrome 22023

    • 著者名/発表者名
      Nguyen Tina、Lau Anthony、Bier Julia、Cooke Kristen C.、Lenthall Helen、Ruiz-Diaz Stephanie、Avery Danielle T.、Brigden Henry、Zahra David、Sewell William A、Droney Luke、Okada Satoshi、Asano Takaki、et al.
    • 雑誌名

      Journal of Experimental Medicine

      巻: 220 ページ: -

    • DOI

      10.1084/jem.20221020

    • 査読あり / 国際共著
  • [雑誌論文] Novel NF-kappa B Inhibitor Alpha Gain-of-Function Variant in an Infant with Lymphocytosis and Recurrent Serratia Bacteremia2023

    • 著者名/発表者名
      Gunderman Lauren M.、Asano Takaki、Casanova Jean-Laurent、Boisson Bertrand、Khojah Amer
    • 雑誌名

      Journal of Clinical Immunology

      巻: - ページ: -

    • DOI

      10.1007/s10875-023-01481-z

    • 査読あり / 国際共著
  • [雑誌論文] A complementary approach for genetic diagnosis of inborn errors of immunity using proteogenomic analysis2023

    • 著者名/発表者名
      Sakura Fumiaki、Noma Kosuke、Asano Takaki、et al.
    • 雑誌名

      PNAS Nexus

      巻: 2 ページ: -

    • DOI

      10.1093/pnasnexus/pgad104

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Inborn errors of immunity with loss- and gain-of-function germline mutations in STAT12022

    • 著者名/発表者名
      Asano Takaki、Utsumi Takanori、Kagawa Reiko、Karakawa Shuhei、Okada Satoshi
    • 雑誌名

      Clinical and Experimental Immunology

      巻: 212 ページ: 96~106

    • DOI

      10.1093/cei/uxac106

    • 査読あり
  • [学会発表] 重症COVID-19を引き起こす宿主遺伝因子としてのX連鎖潜性TLR7欠損症の同定2023

    • 著者名/発表者名
      浅野孝基, Bertrand Boisson, Jean-Laurent Casanova
    • 学会等名
      第5回日本免疫不全・自己炎症学会学術集会
    • 招待講演
  • [学会発表] 先天性免疫異常症に対する新生児マススクリーニング検査と広島県での現状2023

    • 著者名/発表者名
      浅野孝基
    • 学会等名
      第50回日本マススクリーニング学会学術集会
    • 招待講演
  • [学会発表] 小児COVID-19関連多系統炎症性症候群(MIS-C)の遺伝的素因と発症機序2023

    • 著者名/発表者名
      浅野孝基、岡田賢
    • 学会等名
      第51回日本臨床免疫学会総会(合同開催:第60回日本消化器免疫学会総会)
    • 招待講演
  • [学会発表] 本邦初の常染色体顕性IL6ST異常症の2症例の同定と分子病態の解明2023

    • 著者名/発表者名
      芦原康介、浅野孝基、野間康輔、津村弥来、豊福悦史、関根朗雅、今井耕輔、岡田賢
    • 学会等名
      第5回日本免疫不全・自己炎症学会学術集会
  • [学会発表] IL17RC新規重複変異による慢性粘膜皮膚カンジダ症2023

    • 著者名/発表者名
      野間廉輔、津村弥来、浅野孝基、溝口洋子、荘司貴代、岡田賢
    • 学会等名
      第5回日本免疫不全・自己炎症学会学術集会

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公開日: 2023-12-25  

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