研究実績の概要 |
本年度は、HPV関連中咽頭癌と喉頭癌の予後因子・病態の差異について、腫瘍の解剖学的な局在に着目し解析した。 中咽頭癌においては、High risk HPV関連癌の割合および予後が解明されているが、下咽頭癌、および喉頭癌においては十分な検証データがない。 467名の患者組織サンプルに対して免疫組織化学染色を行い、p16, Rbの発現状態を解析した。さらに、High risk HPV関連をCISH(Chromogenic in situ Hybridization)により検出した。 High Risk HPV感染は全腫瘍の約1/4で検出されHPV感染はRbの発現状態と関連性を認めた。 HPV感染は非感染癌とくらべて解剖学的な部位によって有意に予後良好と示されたが、腫瘍の局在および広がり方によっては、HPVの陰性と陽性で予後に差がないことが明らかとなった。現在、本内容に関して査読付き原著論文を投稿中である。 また、予後不良因子である組織型に着目し、その分化異常の誘導機構の解明を試みた。免疫染色により分化異常を有する頭頸部癌症例の抽出を行い、その分化異常を誘導する分子制御機構の可能性が高いと考えられるシグナル経路Xの活性化状態の評価を免疫染色を用いて行っている。
|