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2022 年度 実施状況報告書

軟部肉腫におけるNK細胞療法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 22K20787
研究機関新潟大学

研究代表者

大池 直樹  新潟大学, 医歯学総合病院, 助教 (20961676)

研究期間 (年度) 2022-08-31 – 2024-03-31
キーワード脂肪肉腫 / 滑膜肉腫 / 軟部肉腫 / NK細胞 / HLA classI
研究実績の概要

軟部肉腫の治療成績は化学療法の導入により向上したが、その後数十年にわたり横ばいとなっている。新規治療法の開発が望まれており、免疫治療はその候補となる。我々はこれまで軟部肉腫の腫瘍免疫環境を研究し、粘液型脂肪肉腫の約90%、滑膜肉腫の約30%においてHLA class Iの発現が減弱もしくは消失していることを報告した。細胞表面のHLA class Iの発現低下はNK細胞の活性化と関連しており、HLA class Iの発現が低下している肉腫ではNK細胞療法による治療効果が期待される。しかしながら、軟部肉腫におけるNK細胞療法の治療効果については明らかではない。本研究では軟部肉腫においてNK細胞の効果を示す組織型を明らかにすることを目的としている。
まず初めに、NK細胞を活性化(抑制)する分子の発現を幅広く解析することでNK細胞の治療効果を示しうる組織型を明らかにすることとした。当初の予定通り脂肪肉腫や滑膜肉腫の細胞株を用いてNK細胞を活性化する分子(MICA/B, ULBP1-6)と抑制する分子 (HLA-A, B, C, HLA-E) の発現の発現についてフローサイトメトリーを用いて解析を行ない、粘液型脂肪肉腫、滑膜肉腫においてMIC-A/Bの高発現を確認した。また、肉腫の一種であるEwing肉腫におけるNK細胞の治療効果とGSK3Bの阻害がNK細胞の治療効果を促進することを見出し、国際学会での口演発表を行なった(CTOS 2022, Vancouver, Canada)。今後、軟部肉腫細胞株を用いin vitro, in vivo でのNK細胞の実際の治療効果について解析を進める方針である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

粘液型脂肪肉腫という脂肪肉腫の亜型では特にHLA class I 分子の発現が低下している。軟部肉腫の中でもNK細胞治療のターゲットとして有望視していいたが、粘液型脂肪肉腫の細胞株が希少であるため、入手に時間を要した。しかし、2023年4月に粘液型脂肪肉腫の細胞株を2株入手し、計3株保有することとなった。これらの細胞株を用いてin vitro, in vivo でのNK細胞療法の効果を検討していく予定となっている。

今後の研究の推進方策

今後はNK細胞の治療効果をin vitro, in vivo確認していく。2023年4月に粘液型脂肪肉腫を入手した。今後、最もNK細胞療法の効果を見込んでいる脂肪肉腫、滑膜肉腫から治療効果に関する検討を進めていく。さらにEwing肉腫で行ったように薬剤によるNK細胞の治療効果を増強するような薬剤を探索する予定としている。

次年度使用額が生じた理由

最もNK細胞の効果を期待している粘液型脂肪肉腫の細胞株を購入するための交渉が遅れ、2023年4月の購入となった。そのため、実験試薬の購入も2023年度に購入することとなったため次年度使用額が生じた。次年度使用額は当初の実験計画の通り試薬の購入、細胞株の購入費用に充てる。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2022

すべて 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件)

  • [学会発表] Glycogen synthase kinase 3阻害薬はEwing肉腫においてNK細胞の抗腫瘍効果を増強する2022

    • 著者名/発表者名
      大池 直樹, 白井 了太, 生越 章, 有泉 高志, 村山 雄大, Bodlak Avery, 川島 寛之, Verneris Michael, 林 正憲
    • 学会等名
      第37回日本整形外科学会基礎学術集会
  • [学会発表] HIGH-THROUGHPUT DRUG SCREENING IDENTIFIES GSK3B INHIBITION AS A THERAPEUTIC TARGET TO ENHANCE ALLOGENEIC NK CELL CYTOTOXICITY IN EWING SARCOMA2022

    • 著者名/発表者名
      Naoki Oike, Ryota Shirai, Taylor Gillis, Deandra Walker, Avery Bodlak, Timothy Porfilio, Michael Verneris, Masanori Hayashi
    • 学会等名
      2022 CTOS annual meeting
    • 国際学会

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公開日: 2023-12-25  

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