研究課題/領域番号 |
22K20805
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
西田 奈央 早稲田大学, 高等研究所, 講師(任期付) (80737114)
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研究期間 (年度) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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キーワード | 細胞外小胞 / エクソソーム / がん微小環境 / 3D組織モデル / 乳がん |
研究実績の概要 |
本研究はがん組織という構造の中で、がん細胞から正常細胞への細胞外小胞の受け渡しを定量的・時空間的に理解することを目標としている。本年度は、細胞外小胞を詳細に観察するため、高感度な細胞外小胞ラベルを最適化した。細胞外小胞の表面タンパク質をCD9, CD63, CD81に対して蛍光ラベルを融合させた融合タンパク質を設計し、乳がん細胞に導入して安定発現株を作製した。次に、がん組織を実験室で培養維持できる組織スライスモデルを最適化し、組織スライス上に存在する細胞によってがん細胞外小胞が取りこまれる様を観察できることを実証した。さらに、組織スライスを応用して乳がんの臓器転移モデルを作製し、がん細胞由来の細胞外小胞が周囲のがん以外の細胞に取り込まれる様子を観察することに成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画通り、細胞外小胞の高感度な蛍光標識方法を開発、最適化し、また組織スライス上での細胞外小胞の観察に成功したため。一方で、細胞外小胞を取り込んだ細胞の検出に関してはまだ課題が残るので、次年度も継続して最適化する。
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今後の研究の推進方策 |
がん由来の細胞外小胞を取り込んだ細胞を特定するための手技を最適化する。まずは、細胞外小胞由来の蛍光を指標に、フローサイトメトリーで細胞の種類を特定する。次に、空間的な分布を観察するために、組織内の細胞を生きたままラベルする手法、顕微鏡による観察手技の最適化も行う。さらに、悪性度が異なる乳がんや他のがん細胞でも同様な観察を行い、細胞外小胞の受け渡しの違いによるによるがんの悪性化を理解する。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定よりプラスミド作製にかかる額が低く、また少ない数のマウスで実験が遂行できた。予算は、次年度に予定しているフローサイトメトリーや組織内の細胞の検出の検討に必要な抗体の購入に充てる。
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