Ewing肉腫の代表的細胞株2種類を用いて、ASOの設計を試みた。まず最初に、EWS-FLI1の配列を確認した。これはEWS-FLI1はその融合ポイントが多岐にわたるこが報告されているためである。次に、Exon skippingの結果Frame shiftが生じるExonを標的としてASOを設計した。それぞれの5´端末側に推定されるDonor siteを標的としてASOをデザインし、トランスフェクション24時間後にRNAを抽出し、cDNAに変換したのち、標的部位前後100bpを挟んだ位置に設計したプライマーを用いてPCRを実施し、標的ExonがSkippingされているかを確認した。しかしながら、得られたアンプリコンサイズは、Skippingされていない転写物に該当するもののみであった。なお、トランスフェクション効率については、ASOに蛍光色素をタグ付けしていることから、トランスフェクション翌日に蛍光色素陽性細胞のみをソートしているため、少なくとも細胞質内のASOの存在は確認をしている。つぎに、Exon super enhancer(ESE)を標的としたASOと、ならびにExon3のDonor siteを標的としたASOを計7種類設計した。しかしながら、いずれのASOを用いても、同様の方法で評価を行ったがExon skippingが誘導されていることを確認することができなかった。ESE部位は、配列モチーフを元に推定されている公開データベースを参照とした。複数のデータベースでそれぞれ異なる部位がESE標的と報告されており、精度は高いとは言えない。今回の実験では、計9種類のASOを試したが、期待するEWS-FLI1への効果は得られなかった。今後の研究の成功のためには、正確なESE部位の同定ならびに、ASOが核内へ移行していることを確認するなどの改善が必要であると考えられた。
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