研究課題/領域番号 |
22K20814
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
顧 文超 筑波大学, 医学医療系, 研究員 (10967318)
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研究期間 (年度) |
2022-08-31 – 2025-03-31
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キーワード | ラジオミクス / ゲノミクス / シングルセル / がんの微小環境 / 放射線医学 |
研究実績の概要 |
がん診療における治療方針の決定における術前の画像検査は、原発巣の周囲組織への浸潤や所属リンパ節転移、遠隔転移評価を目的として撮像される。本研究は、頭頚部扁平上皮癌(HNSC)における疾患ゲノム情報データベースに基づき、腫瘍微小環境内のシグナル因子とイメージング表現型の関連性を明らかにすると同時に、がん免疫療法をはじめとした腫瘍免疫応答を考慮した集学的治療の層別化の構築について調査する。頭頚部扁平上皮癌患者の免疫チェックポイント阻害剤(ICI)による治療の効果を画像診断とゲノム情報から予測するためのRadiogenomicsモデルを構築する。頭頚部扁平上皮癌患者の造影CT画像とRNA-seqデータを用いて、バイオインフォマティクス解析を行う。造影CT画像から手動で病変関連領域を設定し、Pyradiomicsを用いて病変の画像的特徴量を取得する。ICI療法の効果の有無による画像特徴量の差を統計学的手法を用いて評価する。RNA-seqデータからも統計的手法を用いて遺伝子候補を選択する。さらに、腫瘍微小環境内のシグナル因子を探索し、医用画像表現型との関連性を調査し、明らかにする。頭頚部癌に特徴的な医用画像表現型評価における新たな課題に対して、腫瘍微小環境シグナル因子との関連性を明らかにすることで課題解決を目指し、がん免疫療法を含めた集学的治療を基盤とした治療効果の向上や治療抵抗性頭頚部癌への腫瘍免疫応答に対応した治療レジメン選択基準の構築を目的とする。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
GSEA解析により、ICI療法に応答する患者ではCYTOSOLIC_DNA_SENSING_PATHWAYが活性化していることが示された(p<0.05)。また、モデルは有効な患者群を区別し、その中には顕著な免疫細胞の浸潤およびImmuneScoreが見られることが認められた(p<0.05)。 一方、無効群では高いStromaScoreと少量の免疫細胞の浸潤が見られた。さらに、NMFクラスタリングを通じて、モデルが免疫サブグループを優れた区別能力を持っていることが判明した。本研究で構築したRadiogenomicsモデルは、免疫療法応答を予測する非常に優れた能力を示した。
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今後の研究の推進方策 |
免疫療法を受けた患者のCT画像を用いてモデルの予測能力を検証する準備を進める。また、FFPEサンプルを用いたNGSシーケンシングも実施する。結果が以前の研究での発見と一致するかどうかを探り、さらに画像特徴とmRNAとの生物学的関係を明らかにすることを目指す。さらに、公共のシングルセルデータを用いて、免疫療法を受けた患者間での免疫細胞サブグループに違いがあるかどうかを評価する予定だ。
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次年度使用額が生じた理由 |
次世代シーケンシングの準備を進めており、腫瘍遺伝子解析との関連性について調査を行っている。臨床症例の切片を用いて、免疫療法が効果的なグループと効果の乏しいグループに分類した後、特定の遺伝子を確認する予定です。国内および海外の学会で研究成果を発表するために必要な旅費および論文発表の際の諸経費についてです。
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