研究課題
腫瘍浸潤リンパ球(TIL)の非細胞傷害性TFHと細胞傷害性TFH様細胞が、CD8陽性T細胞におけるprogenitor exhaustionとterminally exhaustionとそれぞれ同様の性質を持つかを検証した。まずヒトTILのシングルセルシークエンスの結果からTFHにおいて数的上位を占めるTCRを抽出し、T細胞株に遺伝子導入してMHC class II (MHC-II) 発現腫瘍細胞とin vitroで共培養したところ、遺伝子導入したT細胞株は腫瘍細胞に対して反応性を示したため、TILのTFHは腫瘍特異的であることが明らかとなった。さらにin vivoモデルを用いたTILの解析結果から、MHC class I (MHC-I) 陽性MHC-II陽性腫瘍ではMHC-I陽性MHC-II陰性腫瘍と比較してTFHのLAG-3発現が上昇しており、これらのLAG-3陽性TFHはBLIMP1高発現・TCF1低発現で細胞傷害性を有する一方、LAG-3陰性TFHはBLIMP1低発現・TCF1高発現で細胞傷害性に乏しかった。そこでLAG-3陽性/陰性TFHをそれぞれソートし、CFSEを用いてin vitroで分裂能を評価したところ、LAG-3陽性TFHはLAG-3陰性TFHと比較して分裂能が乏しいことが明らかとなった。さらに、in vitroでBLIMP1をノックダウンしたT細胞並びにTCF1を遺伝子導入したT細胞を作成してそれぞれの細胞傷害活性を評価すると、両細胞ともperforin分泌が低下していた。これらの結果は非細胞傷害性TFHと細胞傷害性TFH様細胞が機能的にもCD8陽性T細胞における所謂progenitor exhaustionとterminally exhaustionの関係であることを示唆していると考えられ、CD4陽性T細胞における疲弊を再定義できる可能性があった。
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