研究課題
AXL高発現のKRAS-G12C変異陽性肺癌において、AXLシグナルがKRAS-G12C阻害薬に対する治療抵抗性に関与することを明らかにした。また、AXL阻害薬を使用し、KRAS-G12C阻害薬との併用効果を確認した。AXLが活性化する機構として、既報でAXLとの関連が示唆されているYAPに注目した。KRAS-G12C阻害薬投与により、YAPが活性化することやAXLのリガンドである、GAS6が増加することを確認し、YAP-GAS6を介したAXLシグナル活性化がKRAS-G12C阻害剤に対する初期治療抵抗性を誘導することを明らかにした。in Vivモデルにおいて、KRAS-G12C阻害薬+AXL阻害薬の併用による抗腫瘍効果が得られることを評価した。KRAS-G12C変異陽性肺癌細胞株にKRAS-G12C阻害薬を長期間暴露して、耐性株を作成し、耐性株でのAXLの影響を検討した。耐性株ではKRAS-G12C阻害薬による細胞増殖阻害効果が低下しており、AXL蛋白の発現が上昇していても、親株と比べてAXL阻害薬の併用効果が低下していた。本研究によって、KRAS-G12C阻害薬の初期治療抵抗性に関わる分子メカニズムのひとつが明らかになった。治療抵抗性に関わるAXLを初期から阻害することにより、KRAS-G12C阻害薬の治療効果を上昇させ、耐性化までの期間を遅らせることができる可能性がある。本研究結果は、国際科学雑誌 "Cancer Letters"に掲載された。(Cancer Lett. 2024 Apr 10;587:216692.)
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Cancer Letters
巻: 587 ページ: 216692~216692
10.1016/j.canlet.2024.216692