研究課題
腫瘍細胞は自身の生存に有利な微小環境を構築ために細胞内外の脂質組成を統御することが知られているが、その分子機序や生物学的意義等の詳細は不明である。Epstein-Barr Virus(EBV)陽性リンパ腫においては、先行研究にてリンパ腫細胞の脂質組成が抗炎症性脂質であるω3脂肪酸に偏っていることを見出したが、その分子機構については不明であった。本研究では、腫瘍細胞が炎症惹起性脂質であるアラキドン酸(AA)のトランスポーターであるFATP2の発現調節を介して細胞内AA量を減少させることで、膜脂質過酸化による細胞死「Ferroptosis」への耐性を獲得し、腫瘍の成長を促していることが明らかとなった。またTCGAの公共データベース解析と異種移植モデルの解析より、膠芽腫やメラノーマのような予後不良の癌においても上記細胞外脂質の流入制御機構が腫瘍増生に重要な役割を果たしていることが明らかとなった。本研究成果は2024年5月8日にCell Death Discovery誌に掲載された。(https://doi.org/10.1038/s41420-024-01971-y)
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Cell Death Discovery
巻: 10 ページ: 221-231
10.1038/s41420-024-01971-y