本研究では正常な血液細胞に遺伝子変異が蓄積する原因を解析し、さらに年齢や飲酒、喫煙などの環境因子との関連を調べることにより、血液腫瘍の発症機序を明らかにすることを目的として研究を行った。検診受診者100名から末梢血検体を収集して、喫煙歴、飲酒歴、年齢などの情報から解析する症例を選定した。臍帯血1検体および検診受診者11例から174個の造血コロニーを作製して全ゲノム解析を行なった。その結果、正常血液細胞では1年間に約14個の変異が蓄積していると推定され、これは過去の欧米からの報告と概ね一致していた。一方、遺伝子変異の蓄積量には個人差がみられ、生活歴と関連している可能性が考えられた。
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