本研究では、北海道白血病ネットで集めた検体の中から、PCR法にてNUP98-NSD1陽性の急性骨髄性白血病検体を見つけ、NUP98-NSD1のクローニングを行った。NUP98-NSD1の全長をクローニングすることを計画していたが、NUP98-NSD1は5700bp程度と非常に大きいため、全体を一辺にクローニングを行うことは困難であった。次に、前半部分と後半部分に分けてクローニングを行い、前半部分をPCRで増幅した後にベクターを制限酵素で切断し切断部分にNUP98-NSD1の前半部分を挿入し、形質転換後にプラスミド抽出を行った。後半部分に対しても同様の手法を用いて後半部分をPCRで増幅し、ベクターを制限酵素で切断し切断部分にNUP98-NSD1の後半部を挿入し、形質転換後にプラスミド抽出を行った。シークエンスで確認すると一部に塩基置換が認められたためPCR法などにより修復を行ない、シークエンスが復元できた。全長を確認するため、前半部分と後半部分を結合させ、再度全長をシークエンスで確認した。 出来上がったNUP98-NSD1をヒトB細胞系細胞株であるBa/F3に遺伝子導入し、ピューロマイシンによる薬剤セレクションでNUP98-NSD1陽性細胞株を樹立した。しかし、NUP98-NSD1の癒合蛋白の発現をウエスタンブロットでは確認できず、他の細胞株にも遺伝子導入を行い、ピューロマイシン耐性株の樹立を行ったが、Ba/F3への遺伝子導入と同様にNUP98-NSD1の癒合蛋白の確認ができなかった。このため、別のベクターによる遺伝子導入を行い、今後細胞株の樹立を目指す。
|