研究課題
神経疾患の診断には神経診察による症状の評価が必要であるが、神経疾患を専門としない医師にとって神経診察は必ずしも容易ではない。神経変性疾患の発症頻度は社会の高齢化に従い増加傾向にあるため、医師の経験・技能によらない客観的な神経所見評価方法の確立が求められている。本研究は、近年発展している機械学習を利用して、代表的神経疾患である脊髄商法変性症とパーキンソン病を対象に、歩行動画から疾患の重症度や鑑別が可能かどうか検証することを目的とた。本研究では、脊髄小脳変性症患者を対象として、その重症度の予測や、同じく代表的神経変性疾患であるパーキンソン病との区別が歩行動画から可能かどうか検証した。研究期間内にパーキンソン病患者82名、脊髄小脳変性症患者61名の歩行動画を収集し、おおむね目標としていた対象者数を達成した。収集した動画から得たデータを用いて、パーキンソン病と脊髄小脳変性症を鑑別する深層学習モデルと、脊髄小脳変性症患者の臨床スケール(SARA)点数を予測するモデルの学習を行った。パーキンソン病と脊髄小脳変性症を鑑別するモデルは、正診率 86%、ROC曲線AUC 0.91の精度を達成した。また、脊髄小脳変性症患者におけるSARAスコアの予測を行うモデルは、平均絶対誤差 2.2、R2スコア 0.71の精度を達成した。これらの成果の一部は、2023年第5回日本メディカルAI学会学術集会、および2024年第14日本小脳学学術大会にて発表を行った。また、これらの研究結果は国際学術誌への論文投稿準備中である。上記のほか、AIを利用して、歩行動画からパーキンソン病患者の重症度評価、てんかん患者のビデオモニタリング動画中の発作検出、音声データから神経疾患鑑別などに関する研究を行い、それぞれ国際学術誌に論文が受理された。
すべて 2023
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件)
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