研究課題/領域番号 |
22K20845
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
甘中 健登 千葉大学, 大学院薬学研究院, 助教 (60963577)
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研究期間 (年度) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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キーワード | 放射性医薬品 / チェレンコフ光 / F-18 / 核医学治療 |
研究実績の概要 |
核医学分子プローブの標的組織への特異的な集積と滞留は、効果的な核医学治療を実現するにあたり重要な要素となる。本研究では、標的組織における分子プローブの滞留性の向上を目的に、光により活性化され、周辺の生体分子と共有結合することで長期滞留性を獲得する分子送達法の開発を目指す。本研究では荷電粒子線放出核種を用いた際に発生するチェレンコフ光を光源として選択し、FDG等を用いることで腫瘍での光反応とそれに基づく長期滞留性の獲得を戦略とした。今年度は、UV領域の波長で励起される光応答化合物を設計、合成し、F-18溶液やUVランプを用いて光反応が進行するかを評価したが、UVランプ下では光反応が進行していることは確認できたものの、F-18溶液を用いた場合では光反応の進行は確認できなかった。F-18の放射活性や光反応性官能基を変化させ、好条件を見出す必要があると考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
チェレンコフ光の波長領域に吸収特性を有する光反応性分子プローブを設計し、非放射性化合物や放射性標識前駆体までの合成は行った。非放射性化合物を用いた光反応特性の評価を行ったところ、UV光では光反応の進行が確認できた。一方で、F-18溶液を用いたチェレンコフ光下では、光反応の進行が確認できなかった。チェレンコフ光を用いた光反応を実現させるために、F-18の放射活性を強くすることや光反応性官能基に修飾を加え吸収波長特性を変化させる検討を行う。
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今後の研究の推進方策 |
これまで非放射性化合物を用いて光反応の進行を評価してきたが、化合物に対するチェレンコフ光の光子の少なさが起因している可能性も考えられた。そこで、放射性化合物を用い、化合物量を少なくした条件で、光反応が進行するかどうかを検討する。また、チェレンコフ光による光反応を進行させるために、F-18の放射活性や光反応性官能基を変化させる。さらに、波長シフタを用いた光反応の検討も行い、進行が確認できた場合は、改めて分子設計を見直し、組織滞留性の向上を指標にインビトロ、インビボ評価を進めていく。
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