核医学分子プローブの標的組織への特異的な集積と滞留は、効果的な核医学治療を実現するにあたり重要な要素となる。本研究では、標的組織における分子プローブの滞留性の向上を目的に、光により活性化され、周辺の生体分子と共有結合することで長期滞留性を獲得する分子送達法の開発を目指した。本研究では荷電粒子線放出核種を用いた際に発生するチェレンコフ光を光源として選択し、FDG等を用いることで腫瘍での光反応とそれに基づく長期滞留性の獲得を戦略とした。 本年度は、前年度に合成したUV領域波長で励起される光応答化合物の放射性標識体を合成し、UVランプやF-18溶液を用いて化合物の分解が進行するかを評価した。その結果、UVランプ下では非放射性標識体と同様に短い照射時間で分解が進行した。一方で、F-18溶液と混合した場合、F-18の放射活性によらず分解はほとんど確認できなかった。測定器によるチェレンコフ光の検出は可能ではあるが、その光強度が非常に微弱であることが光化学反応の進行の障壁となっていることが原因であると考えられた。
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