研究課題/領域番号 |
22K20860
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研究機関 | 大分大学 |
研究代表者 |
鹿子嶋 洋明 大分大学, 医学部, 医員 (50966687)
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研究期間 (年度) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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キーワード | 炎症性腸疾患 / 自己免疫性肝炎 / ケモカイン / MIP-1γ |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、炎症性腸疾患と自己免疫性肝炎という消化器分野における難病の病態形成において、ケモカインMIP1-γがどのような役割を担っているかを解析することである。 まず、MIP-1γ遺伝子欠損マウスの定常状態の解析を行い、MIP-1γ遺伝子欠損マウスと野生型(WT)マウスの胸腺におけるT細胞の分化および脾臓におけるT細胞とB細胞の割合に変化がないことをフローサイトメトリーで確認した。 炎症性腸疾患モデルは、DSS(デキストラン硫酸ナトリウム)の自由飲水による実験的大腸炎モデルを選択し、自己免疫性肝炎モデルは、ConA(コンカナバリンA)の経静脈投与による急性肝炎モデルを選択した。 初年度は主にDSS腸炎に関しての解析を行なった。体重変化では、WTマウスとMIP1-γ遺伝子欠損マウスでは同程度の体重減少を呈し、体重変化と下痢と血便の合計スコアで評価するDAIも同様の結果であった。サイトカイン発現解析では、MIP-1γ遺伝子欠損マウスにおいてTNFαが低い傾向にあったが有意差は認めなかった。よって、WTマウスとMIP1-γ遺伝子欠損マウスの2群間において、現時点でDSS腸炎における明らかな表現型の差は見られない。そのため、今後は、DSS腸炎の実験プロトコルの変更や、DSS腸炎以外の腸炎の導入法も検討している。 ConA肝炎に関しては、現時点で未だ十分な解析が行えていないが、ConAを経静脈投与後24時間の時点での肝逸脱酵素(AST,ALT)の評価では、WTマウスとMIP1-γ遺伝子欠損マウスの2群間において有意差は認められていない。今後も、組織学的評価や生存率など含め評価を行なっていく予定としている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
我々が独自に作成したMIP-1γ遺伝子欠損マウスは、定常状態において胸腺におけるT細胞の分化および脾臓におけるT細胞とB細胞の割合に変化がないことを確認出来た。また、MIP1-γ遺伝子欠損マウスと野生型マウスにおいて、DSS腸炎での有意差は認めなかったが、初年度に予定していた実験は行なうことが出来た。また、肝炎におけるMIP1-γの機能解析に着手し、今後更なる解析を行う予定としている。
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今後の研究の推進方策 |
まずMIP-1γ遺伝子欠損マウスの定常状態の解析では、現時点では胸腺・脾臓でのリンパ球の局在を示したが、今後は骨髄系細胞にも注目して解析する予定である。また、MIP-1γを発現するパイエル板や、肝炎モデルの解析を行うため肝臓での免疫細胞の局在に関してもフローサイトメトリー法を用いて明らかにしていきたい。 炎症性腸疾患の病態解明に関しては、DSS腸炎の実験プロトコルの変更や、TNBSなどを用いたDSS腸炎以外の腸炎の導入法も検討している。また、自己免疫性肝炎の病態解明に関しては、今後もConA肝炎モデルを用いて、血液生化学的検査に加えて、組織学的評価やqPCRによるサイトカイン発現量の解析、フローサイトメトリー法を用いて免疫細胞の割合や局在の評価も行なっていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度は、MIP-1γ遺伝子欠損マウスの定常状態のリンパ球の解析が当初予定していたよりも順調に進んだため、各種試薬と購入マウス数が少なく済んだ。 そのため本年度使用額が減少したと考えられる. 次年度はフローサイトメトリー用の抗体などの購入が増えることが予想され、また各種試薬の購入数も増加する可能性があり、翌年度分として助成金を請求した。
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