研究課題/領域番号 |
22K20861
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研究機関 | 横浜市立大学 |
研究代表者 |
浦手 進吾 横浜市立大学, 附属病院, 指導診療医 (90963455)
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研究期間 (年度) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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キーワード | ATRAP / グルタミン代謝 / 老化 |
研究実績の概要 |
これまでに我々は,1型アンジオテンシンII受容体(AT1R)結合タンパク質(AT1R-associated protein:ATRAP)欠損が加齢性腎障害を促進させるとともに,この機序にATRAPのAT1R非依存的経路が関与することを示した.この詳細な機序を解明する端緒として,我々はATRAPとGlutaminase(GLS)の関連性に着目した.GLSは新規老化関連因子として報告され,GLS阻害薬は老化細胞除去薬として抗加齢分野で注目されている.そこで,本研究では「腎臓においてATRAP発現調節異常がGLS機能を介して加齢性腎障害の進行に関与し,ATRAP発現上方制御は抗腎老化作用を発揮する」と仮説を立てた.本研究では,細胞と生体レベルで加齢性腎障害におけるATRAPとGLSの関連性および病態生理学的意義を究明することを目的とした. まず初めに我々はATRAPとグルタミン代謝の関連性に焦点を当て,その中でも特にATRAPとグルタミントランスポータ―の相互作用について解析を進めている.これまでに免疫沈降法を用いて,細胞レベルで分子的相互作用について検証を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
我々はATRAPとGlutaminase(GLS)の関連性を明らかにする過程のまず初めに,ATRAPとグルタミン代謝の関連性に焦点を当て,その中でも特にATRAPとグルタミントランスポータ―の相互作用について解析を進めた.ヒト近位尿細管細胞において免疫沈降法を用いてATRAP複合体を抽出し,質量分析で解析することでATRAPの相互作用タンパク質として377種を同定し,その中からグルタミントランスポーター3種類を同定した.細胞レベルで分子的相互作用について免疫沈降法を用いて検証を行い,ATRAPとそれらグルタミントランスポーターにおける相互作用を見出した.
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今後の研究の推進方策 |
現在進行中のATRAPとグルタミントランスポーターの機能的相互作用についての検証を継続し,生体レベルにおいてATRAP発現変動に伴い細胞内へのグルタミン取り込み量がどのように変動するかを検証するため,遺伝子改変マウスの若年と高齢個体の腎臓検体をメタボローム解析し,グルタミンを含めた細胞内代謝産物を網羅的に定量することを予定している.さらに,遺伝子改変マウスなどに対して腎老化実験モデルでの介入実験を行うことを検討している.現時点では,この一連の研究において学会発表などの成果発表は行っていない.実験結果が確立した段階で精力的な学会発表,論文発表などの学術的活動を行なっていく所存である.
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