• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2022 年度 実施状況報告書

重粒子線照射領域可視化技術におけるシミュレーションモデルの開発

研究課題

研究課題/領域番号 22K20873
研究機関国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構

研究代表者

増田 孝充  国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 量子医科学研究所 物理工学部, 研究員 (20933740)

研究期間 (年度) 2022-08-31 – 2024-03-31
キーワード重粒子線治療 / PETイメージング / シミュレーション / レンジ推定
研究実績の概要

本研究課題の目的は重粒子線照射時に体内で生成されるポジトロン放出核種の分布を計算する解析モデルを開発することである。初年度は解析モデルのベースとなるデータを取得するため、モンテカルロ法によるシミュレーション基盤を構築した。
所属機関では炭素線に加えてヘリウム線、酸素線、ネオン線を用いたマルチイオン治療を新たに開始する予定である。そこで、治療室に供給されるヘリウム線、炭素線、酸素線、ネオン線のビームパラメータを汎用モンテカルロシミュレーションコードPHITSに実装した。精度検証として水に対する重粒子線照射シミュレーションを行ったところ、実測したデータに対して線量で1-2%以内、飛程やビームサイズで1 mm以内の高い一致度を達成した。また、治療に用いられる複雑な照射野にも対応するため、治療計画装置で最適化したビームの強度情報をモンテカルロシミュレーション上に展開するプログラムを作成した。これにより、治療と同等の照射をモンテカルロシミュレーションで実施し、入射イオンとターゲットの原子核間で生じる様々な反応を調べることが可能になった。現在は、構築したモンテカルロシミュレーションを用いてヘリウム線、炭素線、酸素線、ネオン線ペンシルビームが人体を構成する原子核(水素、炭素、酸素、カルシウム)に入射したとき、入射粒子自身が砕ける入射核破砕反応と人体を構成する原子核が砕ける標的核破砕反応によって生成するポジトロン放出核種分布を取得している段階である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究計画はモンテカルロ法によるシミュレーション環境の構築、ポジトロン放出核種生成分布の取得、解析計算に基づくPETシミュレーションモデルの開発の3つに大分される。初年度はポジトロン放出核種生成分布を取得する段階まで進めることができたため、おおむね順調に進展していると判断した。

今後の研究の推進方策

モンテカルロ法では放射線と物質の相互作用を表す確率モデルに従って乱数を発生させるため、event-by-eventの粒子輸送計算を実施し、その詳細な情報を取得することができる。しかし、十分な統計を得るためには莫大な計算を要するため、実際の臨床に用いることは難しい。そこで、モンテカルロシミュレーションで取得した入射粒子、ターゲットの原子核、生成反応機構毎のペンシルビームを最小単位として扱い、不均質物質中でのポジトロン放出核種生成分布を解析的に計算する手法を確立する。ここでは、重粒子線治療計画装置における線量計算アルゴリズムの概念をベースに検討を進める予定である。解析計算の精度はモンテカルロシミュレーションを用いて評価する。

次年度使用額が生じた理由

2022年度は学会参加や実験に関連した出張が当初の予定よりも少なかったため、次年度での旅費使用とした。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2023 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 3件)

  • [国際共同研究] Ludwig-Maximilians-Universitat Munchen(ドイツ)

    • 国名
      ドイツ
    • 外国機関名
      Ludwig-Maximilians-Universitat Munchen
  • [学会発表] Effects of cell-specific radiosensitivity on biological effectiveness for therapeutic helium-, carbon-, oxygen-, and neon-ion beams2023

    • 著者名/発表者名
      Takamitsu Masuda and Taku Inaniwa
    • 学会等名
      PTCOG 61
    • 国際学会
  • [学会発表] Evaluation of strategies for dose reconstruction from prompt gamma radiation in proton therapy2023

    • 著者名/発表者名
      Beatrice Foglia, Chiara Gianoli, Takamitsu Masuda, Elisabetta De Bernardi, Thomas Bortfeld, Joost Verburg, Katia Parodi, and Marco Pinto
    • 学会等名
      ESTRO 2023
    • 国際学会
  • [学会発表] Dose reconstruction methods using secondary prompt-gamma radiation in proton therapy2023

    • 著者名/発表者名
      Beatrice Foglia, Chiara Gianoli, Takamitsu Masuda, Thomas Bortfeld, Joost Verburg, Katia Parodi, and Marco Pinto
    • 学会等名
      PTCOG 61
    • 国際学会

URL: 

公開日: 2023-12-25  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi