研究課題/領域番号 |
22K20878
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
宮本 せら紀 東京大学, 医学部附属病院, 病院診療医(出向) (00964032)
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研究期間 (年度) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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キーワード | サイコオンコロジー / 進行がん / 心理療法 / RCT / スピリチュアルペイン / うつ病 / 死に関連する苦痛 / QOL |
研究実績の概要 |
2022年度、データ解析用PC、解析用ソフトウエア(SPSS, Amos, STATA)を購入し、J-Supportの支援を受けながら、層別化因子とコントロール群の設定、組み入れ基準と除外基準の見直しを行っており、具体的な研究計画・研究計画書を作成している。当初、責任者のプランでは、本研究はphase2と同様、実臨床での状況に近いEffective trialとして実施する予定であったが、J-Supportからの指導とアドバイスを受け、よりCALMの純粋な介入結果を得るために、同時に、層別化因子を減らす目的で、すべての固形がん・進行がんとせずがん種を絞る、抗うつ薬は未使用である、などの組み入れ基準を取り入れた、Efficacy trialとして行うことも選択肢として挙がっており、特にがん種を絞ることに関して、各研究施設で実施可能性を検討中である。 RCTのアウトカムに使用する質問紙である、進行がん患者のQOLを評価するQuality of Life at the End of Life-Cancer Scale (QUAL-EC)、進行がん患者の死に関連する苦痛を評価するDeath and Dying Distress Scale (DADDS)、進行がん患者の愛着傾向を評価するExperiences in Close Relationships scale (ECR-M16)の日本語版の信頼性・妥当性を検証した国内での学会発表の計画、上記の日本語版質問紙の検証結果の英語論文の作成が進行しており、2023年4月の時点でQUAL-ECがJournal of Pain and Symptom Managementにアクセプトされており、DADDS、ECR-M16が投稿準備中となっている。 協力施設であるがん研有明病院、山口大学医学部附属病院の研究責任者とRCTについてのミーティングを実施し、各施設でのManaging Cancer and Living Meaningfully(CALM)介入群に対する施行者の抽出を始めている。また、RCTに向け、実際の症例とスーパービジョンを通して、本研究に参加する心理療法の実施者2名の育成を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究において、研究計画とリクルートに最も時間を要することが当初より予測されていたため。 当初、責任者のプランでは、本研究はphase2と同様、実臨床での状況に近いEffective trialとして実施する予定であったが、J-Supportからの指導とアドバイスを受け、よりCALMの純粋な介入結果を得るために、同時に、層別化因子を減らす目的で、すべての固形がん・進行がんとせずがん種を絞る、抗うつ薬は未使用である、などの組み入れ基準を取り入れた、Efficacy trialとして行うことも選択肢として挙がっており、特にがん種を絞ることに関して、各研究施設で実施可能性を検討中である。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度、主研究機関である東京大学大学院医学系研究科倫理委員会にて、一括審査・承認を受け、リクルート開始予定である。 本研究では、CALM介入群と通常の支持的精神療法群を、ベースライン、3か月(primary endpoint)、6か月(secondary endpoint)時の測定項目(抑うつ、不安、QOL、愛着傾向、死に関連する苦痛、スピリチュアリティ)にて比較・評価する。 ① リクルート:自施設・共同研究施設に通院中の、予後予測が1年~1年半の固形癌の進行がんもしくは遠隔転移と診断されている患者を対象とする。② ベースライン評価:本研究結果について説明し、研究参加者からを得られた後に、患者背景の調査とベースライン時の評価を実施する。③ ランダム化:参加者は群内バランスを確保するため、実施施設と抑うつ症状の重症度(ベースライン時の Patient Health Questionnaire-9(PHQ-9)スコア(< 8 または≧ 8)を使用)によって層別化され、順列ブロック無作為化の割り当てを受ける。④ 介入:介入群では、3~6 か月にわたり 3~6 回の CALM セッション(各 45~60 分)を受ける。施行者は、CALM のトレーニングワークショップに参加し、CALM 開発者によるスーパービジョンを完遂している医師/心理士とする。治療の安全性と均一性の確保のため、録音・記録された CALM セッションデータの 10%は、CALM 施行者とCALM 開発者の間で共有し、ケースディスカッションを行う。対照群の参加者は 3~6か月の間外来通院し、研究実施施設で通常の支持的精神療法を提供される。⑤ 3 か月、6 か月評価:電話か郵送、対面で評価を実施する。⑥ データ解析・発表:評価項目の統計学的処理により CALM の有効性を明らかにし、成果の発表を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
2023年度、各施設の倫理委員会申請費用、英文校正・英語論文投稿費用、学会発表費用として使用予定であり、 セッション内容収録用ボイスレコーダー、質問紙用紙、質問紙セット用封筒、回答済み質問紙返信用切手を購入予定である。
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