研究実績の概要 |
腎癌や尿路系の癌のために腎摘出術を受ける患者より、書面によるインフォームドコンセントを得て、21例の腎上皮初代培養細胞を樹立し、それらのオルガノイド化に成功した。慢性腎臓病を併発する患者由来のオルガノイドはそれに伴う形質の一部を維持していた。また、それらに対してシスプラチンの反復刺激により、細胞老化を惹起し、慢性腎臓病の表現型である、炎症・線維化を再現することに成功した。これにより、人工的に慢性腎臓病の病態に陥ったオルガノイドの作成に成功したことになる。また、それらのオルガノイドは腎機能ごとに、正常腎、軽症慢性腎臓病腎、重症慢性腎臓病腎に分けて、シングルセルRNA-seq解析を実施し、現在慢性腎臓病に特異的なバイオマーカーや、新たな治療標的分子を探索中であり、一部候補の遺伝子を発見している。現在の本研究課題についての研究成果については、公開中のプレプリント論文に最もよくまとまっているため、そちらの参照されたい。 Recapitulation of Cellular Senescence, Inflammation, and Fibrosis in Human Kidney-Derived Tubuloids by Repeated Cisplatin Treatment Yuki Nakao, Yutaro Mori, Makiko Mori, Shintaro Mandai, Tamami Fujiki, Hiroaki Kikuchi, Fumiaki Ando, Koichiro Susa, Takayasu Mori, Yuma Waseda, Soichiro Yoshida, Yasuhisa Fujii, Eisei Sohara, Shinichi Uchida medRxiv 2024.03.17.24304404(研究代表者はco-first author兼corresponding author) https://doi.org/10.1101/2024.03.17.24304404 こちらのプレプリント論文はJournal of the American Society of Nephrologyに投稿し現在、査読中である。
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