これまで慢性腎臓病の病態モデルは完全な不死化培養細胞株によるものかマウスによるものしか存在しなかった。培養細胞株によるものは、実際の腎臓からの乖離が著しく、また、マウスによるモデルでは、数十年単位で進行する慢性腎臓病を寿命2年のマウスで再現することには限界があった。我々は、ヒトの腎臓に直接由来する初代の上皮細胞でオルガノイドを作製し、さらにそれを人工的に慢性腎臓病の状態にすることに成功している。また末期腎不全の患者の腎臓からのオルガノイド樹立にも成功している。これらの2つの尿細管オルガノイドによる慢性腎臓病モデルは、腎機能を改善しうる治療薬を探索するための重要なツールとなることが期待できる。
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