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2022 年度 実施状況報告書

心臓線維芽細胞のNLRP3インフラマソームが心臓の炎症を惹起する機序の解明

研究課題

研究課題/領域番号 22K20885
研究機関京都大学

研究代表者

棚田 洋平  京都大学, 医学研究科, 特定病院助教 (80958918)

研究期間 (年度) 2022-08-31 – 2024-03-31
キーワード心臓線維芽細胞 / 心不全 / NLRP3インフラマソーム
研究実績の概要

心臓の炎症は心不全の発症・増悪に関わる。心臓線維芽細胞のNLRP3遺伝子発現量が心不全発症の超急性期に上昇する。本研究では「心臓線維芽細胞のNLRP3が心臓の炎症と心不全にいかに関わるか」を明らかにする。
初年度においては、心臓線維芽細胞特異的なNLRP3ノックアウトマウスの心不全モデルを用いて、NLRP3が心臓の炎症や心機能悪化を誘発するかを調べた。準備実験として、圧負荷心不全を惹起する大動脈縮窄術を少数のマウスに施行したところ、野生型と比べてNLRP3ノックアウトマウスでは心機能の悪化が抑制されたことは確認済みである。各群の施行数を増やし、さらにSham群も追加して表現型の解析を行った。ノックアウトマウスでは、心臓超音波検査での心収縮能が改善し、心筋細胞の肥大化は抑制され、線維化も改善された。また、心臓組織内に集積する炎症細胞数も著明に減少していた。以上より、心不全の病態進行に心臓線維芽細胞が関わることが明らかとなった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

心臓線維芽細胞特異的にNLRP3をノックアウトさせたマウスで圧負荷心不全モデルを作成することで、野生型と比較して心不全の進行が抑制されていることが明らかとなった。炎症細胞の集積数が減少していることから、心臓線維芽細胞のNLRP3を起点に炎症が惹起されることで心臓の炎症が生じ、心不全が増悪していると考えられる。心不全モデルでの表現型が確定したことから、続いてin vitroの系で心臓線維芽細胞のNLRP3の活性化機構の解明を行うことが可能となった。
以上より、おおむね順調に進展していると判断した。

今後の研究の推進方策

次年度は、心臓線維芽細胞のNLRP3インフラマソームがどのように活性化されるかを解明する。炎症細胞ではNLRP3インフラマソーム活性化試薬で酸化されたミトコンドリアDNAがミトコンドリアから放出され、NLRP3と結合することでインフラマソームが活性化することが報告されている。そこで、心臓線維芽細胞でも活性化試薬でミトコンドリアDNAが放出されるかを調べる。放出される際にはミトコンドリア外膜上の細孔からであるので、その細孔を同定して放出機序を解明する。

次年度使用額が生じた理由

初年度はマウスを用いた実験では、in vitro用の物品費などを使用しなかった。また、学会発表も行わなかったことから旅費を計上していない。次年度は、in vitroが主な実験内容となり、学会発表も視野にいれていることから支出予定である。

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公開日: 2023-12-25  

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