研究課題/領域番号 |
22K20911
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
池上 龍太郎 新潟大学, 医歯学系, 助教 (20815360)
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研究期間 (年度) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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キーワード | 不安定プラーク / 自家蛍光 / マクロファージ / リソソーム / 炎症性サイトカイン |
研究実績の概要 |
2022年度は、自家蛍光発生細胞(THP-1マクロファージ様細胞に酸化LDLを添加し5日間培養)を用いて自家蛍光発生のメカニズム解明を目的としたIn vitroの実験に取り組んだ。自家蛍光発生には、リソソーム機能不全、オートファジー不全を背景としているという仮説に基づき、qPCR、ウェスタンブロットでリソソーム・オートファジー関連因子の発現を解析した。自家蛍光発生マクロファージでは、酸化LDLを添加して48時間培養した通常の泡沫化マクロファージ(自家蛍光発生なし)と比べ、LAMP1、LAMP2、Atg7のmRNA発現は低下していた。また、LAMP1、LAMP2、LC3を標的としたウェスタンブロットでも、これら蛋白の発現は低下する傾向が見られた。酸化LDLを添加すると、脂質分解のため、リソソーム・オートファジー機能は亢進するが、次第に機能低下を来し自家蛍光発生のフェーズでは関連蛋白の発現は低下していると考えられた。現在、リソソーム機能阻害、賦活化薬を用いた自家蛍光発生の変化とリソソーム機能の解析を行っている。また、自家蛍光発生マクロファージでは、炎症関連蛋白(TNFa, CCL20)のmRNAの発現が48時間培養の泡沫化マクロファージと比べ低下していた。サイトカイン合成能は低下し、より細胞死に近づいている状態を反映していると考えられた。プラーク内環境における自家蛍光発生マクロファージの意義について、さらに検証を進めていく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
これまでのところ仮説通りの結果が得られているが、細胞培養インキュベーターの故障などにより、実験を中断せざるを得ない時期があった。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、自家蛍光発生細胞のリソソーム・オートファジー機能についてさらに解析を進めると共に、サイトカインなどの分泌因子を中心とした解析を行う。分泌因子の網羅的解析を行い、プラーク進展に役割を果たす新規性のある分泌因子がないか、検討を行う。また、超遠心法を用いて自家蛍光粒子を抽出し、血管構成細胞への影響を検証する。
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