研究課題
2022年度の研究成果に基づき、リソソーム機能不全がマクロファージ細胞内における自家蛍光発生の原因に関係しているという仮説の検証を行った。酸化LDL(oxLDL)を添加し5日間培養すると自家蛍光を発生するが、酸化されていないLDL(naive LDL)を添加し同じ期間培養しても自家蛍光は発生しない。しかし、naive LDLにリソソーム・オートファジー阻害薬であるヒドロキシクロロキンを添加し、5日間培養するとoxLDL添加と同様に自家蛍光が発生するようになった。一方で、oxLDLと共にリソソーム賦活化薬を添加すると、自家蛍光は発生しなくなった。このことから、自家蛍光の発生はマクロファージのリソソーム機能阻害によって増強し、リソソーム賦活化によって減弱することが示された。oxLDLに自家蛍光阻害薬を添加し自家蛍光を増強した細胞では、強い細胞死が誘導された。このことから細胞内自家蛍光の発生が細胞死の誘導と強く関係していることを裏付けられた。自家蛍光増強細胞のRT-PCRを解析したところ、アポトーシス関連遺伝子の発現が上昇していた。自家蛍光発生マクロファージはリソソーム機能不全に由来する細胞内環境の恒常性破綻から細胞死が誘導され、プラーク内における壊死性コア形成と周囲の炎症の惹起によりプラークの不安定化を促進させていると考えられる。本研究より、自家蛍光発生のメカニズムがリソソーム機能不全に由来し、自家蛍光の検出がプラーク不安定化の診断に有用である可能性を示すことができた。
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