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2022 年度 実施状況報告書

表皮角化細胞様に誘導した脂肪由来幹細胞を用いた栄養障害型表皮水疱症の新規治療開発

研究課題

研究課題/領域番号 22K20923
研究機関順天堂大学

研究代表者

松田 晃徳  順天堂大学, 医学部, 助手 (30964069)

研究期間 (年度) 2022-08-31 – 2024-03-31
キーワード栄養障害型表皮水疱症 / 脂肪組織由来幹細胞 / VII型コラーゲン
研究実績の概要

栄養障害型表皮水疱症は、VII型コラーゲン遺伝子異常により表皮・真皮間の係留線維に異常をきたし、容易に表皮が剥離して水疱、潰瘍が多発する疾患である。根本的治療はなく、現在、皮膚のびらん、潰瘍に対して外用剤、創傷被覆材を用いるなどの対症療法のみとなる。本研究では、栄養障害型表皮水疱症に対しての新規治療法開発を目的としている。
根本的治療に向けて、これまでに脂肪組織由来幹細胞を上皮基底膜構成成分であるIV型コラーゲン上で皮膚線維芽細胞と共培養し、さらに、オールトランスレチノイン酸と骨形成因子4で刺激することで、効率良く表皮角化細胞に分化誘導する方法を見出した。この表皮角化細胞様細胞 KC-ADSCは、VII型コラーゲンを発現して創傷治癒を促進すること、また、VII型コラーゲン欠損マウス皮膚に本細胞を投与したところ、表皮基底膜部にVII型コラーゲンが発現し、水疱を生じにくくなることも確認してきた。今年度は、表皮基底膜部に沈着したVII型コラーゲンが投与したKC-ADSCによって、あるいは宿主マウスの創傷治癒過程で沈着したかどうかを調べるため、細胞治療後のVII型コラーゲン欠損マウスの移植皮膚の基底膜におけるマウスおよびヒトVII型コラーゲンの発現を、コントロール群と比較した結果、他のコントロール群同様に移植皮膚辺縁でマウス由来のVII型コラーゲンの発現が見られたが、それに加えてKC-ADSC投与群ではヒトVII型コラーゲンの発現も見られた。
また、投与された細胞の局在を調べるため、抗ヒト核抗体を用いて移植したVII型コラーゲン欠損マウス皮膚の核染色を実施した。KC-ADSCを投与したVII型コラーゲン欠損マウス皮膚の表皮内でヒト由来細胞が、ヒトCol7の発現が観察された部位で核染色された。この結果から、皮下注射後のKC-ADSCの表皮内への局在が確認された。KC-ADSCが表皮内に局在することで、基底膜へVII型コラーゲンを供給していることが示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

これまでにKC-ADSCをVII型コラーゲン欠損マウスへ投与することで、基底膜にVII型コラーゲンが発現することがわかっていたが、今年度、皮下注射後のKC-ADSCの表皮内への局在が確認されたことで、KC-ADSCが表皮内に局在することで、基底膜へVII型コラーゲンを供給していることが示唆され、本研究は順調に経過していると判断している。

今後の研究の推進方策

これまで細胞投与後2週間での基底膜のVII型コラーゲンを定性的に確認したが、今後は長期的な発現を確認していく。また細胞投与したVII型コラーゲン欠損マウス皮膚で、Western Blotting等を用いてVII型コラーゲンの発現を定量的に評価していく。今後は細胞投与後の長期観察により安全性を評価、検証し、引き続き表皮角化細胞様細胞 KC-ADSCを用いた栄養障害型表皮水疱症の新規治療法開発を目指す。

次年度使用額が生じた理由

抗マウス特異的VII型コラーゲン抗体の作成をする予定であったが、まずは抗マウス/ヒトVII型コラーゲン抗体と抗ヒト特異的VII型コラーゲン抗体を用いてヒト由来KC-ADSC投与後のVII型コラーゲン欠損マウス皮膚でのVII型コラーゲン発現がマウス由来でないことを評価した。そのため予算で未使用額が生じたが、次年度では、効率よくKC-ADSC投与後の基底膜でのVII型コラーゲン供給を評価するための抗体作成費等で使用する予定である。

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公開日: 2023-12-25  

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