研究課題
気道過敏性(AHR)は難治性重症喘息の重要な治療標的であるが、その主要因となる気道平滑筋細胞(ASM)の制御機構は未だ不明な点が多く、AHR に対する特異的治療は未だ確立されていない。TNFSF14(LIGHT)は喘息肺の活性化T 細胞などから産生される炎症性サイトカインで、喘息患者喀痰中のLIGHT 発現量増加と喘息重症度の相関が報告されている。ヒトASM にLIGHT の受容体LTβR が高発現することから、我々はLIGHT の直接的なASM 活性制御がAHR に寄与する可能性を考え、LIGHT によるASM 制御機構の解明と、重症喘息におけるAHR、気道リモデリングへの関与の解明を目的とした。平滑筋特異的LTβR 欠損マウスを用いて、LIGHT による気道平滑筋増生、気道抵抗への関与と、ハウスダスト誘導喘息における意義を検討した。また、ヒト由来ASM を用いてLIGHT によるASM の活性化・収縮誘導シグナルを検討した。LIGHT の気道投与により、気道周囲の平滑筋増生と気道抵抗が亢進した。LIGHT はASM の肥大、過形成、収縮力を促進した。LIGHT はLTβR を介してnon-canonical NF-κB シグナルを伝達し、細胞内 のF-actin 重合とミオシン軽鎖リン酸化の誘導を介して、持続する収縮力や過敏性に寄与すると考えられた。平滑筋特異的LTβR 欠損マウスではハウスダスト誘導喘息におけるAHR と気道リモデリングが改善した。以上より、LIGHT はLTβR を介してASM の肥大と収縮力を制御することで重症喘息におけるAHR と気道リモデリングを促進する可能性が示唆され、難治性喘息の新規治療ターゲットとなる可能性が期待された。
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 3件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (4件)
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